不快 ページ11
「 いやあ、忘れていたよ。御免ね、君たちもこうやって血が垂れ流しになっている傷口なんて不快で仕方無かっただろう！ 」
彼女はそう言うとへらりと笑った。
「 … ふかい、とかじゃなくて、ふつうにしんぱいしとるんやけど。 」
ふい、と顔を背けて言ったのはしんぺい神だ。白藍色の瞳を雑面の隙間から覗かせつつ、彼は不安げに彼女を見詰める。
「 あはは、有難うね。今応急処置だけするから少し待っていてくれ。 」
彼女はそう言うと、部屋の奥へと姿を消した。
さて、子供達だけになった空間で、彼らは顔を見合わせる。
「 なあ、ぐるさん。ほんまにしんようしていいんか？おれはいややで、あのひと。 」
「 てあてしてくれたんやし、わるいひとではなさそうやけどな。 」
「 おれはきらいや。 」
「 おれもいやや。 」
「 …… とりあえず、ここにいればごはんをたべれるのはたしかだ。ようすをうかがいつつ、われわれになにかもんだいがあるようならにげだそう。いいな？ 」
「 …… うん、 」
なんて話していれば、奥から彼女が戻ってくる。
「 待たせたね、夕飯を食べに行こうか。 」
「 …… 。 」
皆の視線は彼女の手首に向けられる。彼女は医者らしいが、確かに医者ということもあって己達への手当は完璧だったと言えよう。
しかし、彼女はどうだ。
彼女の手首への応急処置とやらは、あまりにも適当な気がするのだ。
「 せんせいは … 、 」
「 ん？ 」
「 …… いや、なんでもないわ。 」
結局、彼らは彼女のそれに対して触れることも出来ずに食事をすることとなるのだけれども。
彼女に連れられ、医務室の隣の部屋に通される。そこは大きな部屋で、長い机がひとつ設置されていた。
彼女が秘密機種で連絡を取り、そうやって少ししたところで数人の兵士が大きな皿を幾つも運んでくる。
コーンスープやらパンやら、ジュースやらプリンやら。
どれも、空腹感を抱く子供達の食欲をそそるには十分だった。
「 さて、みんな席について。 」
各々が席につく。全員が席に着いたのを確認し、彼女は静かな声で言った。
「 神の恵みに感謝を込めて、“いただきます”。 」
その言葉に、子供達はきょとんとする。
彼女は彼らの視線に気が付き、こう続けるのだった。
「 良いかい？食事をする時は全てに感謝をして“いただきます”と唱えるんだよ。 」
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味噌(プロフ) - はるまきさん» コメントありがとうございます。前作から見ていただけているということでとても光栄に思っております。今後も更新を頑張って参ります故、是非御期待下さいませ。 (2022年1月12日 22時) (
レス) @page48 id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
はるまき - 主様の前の作品のシリーズ面白くて何回も読み返してたんですけど、今回この話を読んで面白いなと思い作者を確認してみたら主様で驚きました。今後ともたのしみにしてます！ (2022年1月12日 0時) (レス) @page10 id: 3f953aa5db (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - シュネーさん» コメントありがとうございます。前編の方、御付き合いをありがとうございました。後編でも御期待に添えられるように頑張ります。今後も是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
味噌(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます。面白い、と言って頂けると私としてもとても嬉しく思います。今後も頑張って参りますので是非御期待下さいませ。 (2022年1月9日 0時) (レス) id: f15ce638ac (このIDを非表示/違反報告)
シュネー - これで前編……だと……！？後編も楽しみに読みます！！待ってます！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: 32127d00d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味噌 | 作成日時：2022年1月1日 13時
