第6話。すぐ反撃できるので ページ6
真希は背筋を伸ばし人形のように座るAとは相対的に、足を組み乱暴に座った。
「随分尖った奴らしいじゃん、ソイツ。
そんな奴のために空気作りなんてごめんだね。優しいのはAだけで十分なんだよ」
「しゃけ」
狗巻は同意の意味を持つ具をいうが、今同意したのはAは優しい、という部分だけである。
基本的には歓迎派である。なぜなら、Aが歓迎しているので。
Aはノートに視線を落とし、文字を書き始めた。
転校生への、自分の説明だ。
五条先生はその様子を眺め、楽観的にドアに向かって呼びかけた。
「ま、いっか!入っといでー!」
ノートに目を伏せているが、シカトこいてやろ、という真希の口の動きを辛うじて読んだAは慌てて両手で大きくバツの字をつくる。
そして、扉を開いた瞬間、何かが背中を這い登る。
それは恐怖。または畏怖。
嫌悪感、憎悪。この世のありとあらゆる嫌なものを煮詰めたような、ソレ。
彼は気弱そうで優しそうな少年だ。
しかしその後ろに、巨大な影を背負っている。
ソレは、私達が祓うべき、”呪い”
真希はソレを認識した途端、太刀を構え、パンダはグローブを嵌め、棘はネックウォーマーに手をかける。
Aは久しく感じる”死”の感覚に少し頬が強張った。
しかしそれだけだ。
五条先生が連れてきたのであれば、危険ではないはずだ。
それに、攻撃に転じられれば、座ったままでも反撃できる。
Aは様々なことを考えながら、変わらずお行儀よく座っている。
転校生は緊張しているのか、三人の臨戦態勢に気付かないまま、目を伏せ自己紹介を始める。
「乙骨憂太です。よろしくお願いしま――ッ」
ぐさッ、と彼の頬のすぐ横を真希の太刀が掠め、黒板に刺さった。
「…これ、なんかの試験?」
乙骨の見開いた瞳がAを捕らえた。
Aはゆらゆらと手を振りながら、にこにこと微笑んだ。
彼女なりの精一杯の歓迎の意思だ。
「(グッバイ、・・・ってコト!?)」
残念ながら混乱している乙骨にはその気持ちは伝わらなかったようだが。
「Aん時みたいな奴か?
それにしてはいやに私達に向かって敵意振りまくじゃねえか。
ここは呪いを学ぶ場所だ。呪われてる奴が来るとこじゃねーよ」
真希は一切警戒を解かずに、そう吐き捨てた。
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紅 - ミスりました💦お返事ありがとうございます( . .)" (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - 紅さん» 嬉しいお言葉!!ありがとうございます!!頑張って書きますね!! (2023年4月13日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月13日 8時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - みりかさん» 綺麗で読みやすいって…死ぬほど嬉しい言葉です…。でも普段は丁寧のての字もないです!嬉しいコメント、ありがとうございました! (2023年4月10日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛良 | 作成日時:2023年4月4日 10時