第46話。もっと早くに ページ46
Aがからだを震わす。
そんな彼女を安心させるように、憂太は優しく手を握った。
Aが転校初日にしてくれたときのように。
酷く優しい目をAに浴びせ、そして氷点下の視線を柳田に送る。
「もう、君は喋らなくていいよ」
後ろにいるわけでも、前にいるわけでもなく。
ただ、憂太の隣りにいるAは、憂太の口の動きを読む。
「・・・僕は、彼女のことはまだ何も知らないけど・・・。それでも、君のような人間に、そんな侮辱をされていい人間じゃない。
もう一度言う。君が口にしていい言葉は謝罪だけだ。
・・・――謝れ」
「ッ、呪われてる人間同士お似合いじゃねえか!!なあ耳無し女!?
つっても、聞こえねえか!!」
ドガァァァアアアンン!!!
空気が震えた。
里香が柳田を地面に押さえつけている。
あまりの衝撃で地面が放射状に割れた。
「・・・・・・ぁ?な、・・・に・・・」
「もう喋らないでって言ったよね。口にしていい言葉は謝罪だけとも。
・・・――君のような人間の方こそ、言葉を奪われるべきだった」
Aは里香が暴走したのかと思い、憂太の方を向くが、この惨状はどうやら彼が望んだものらしい。
憂太はAの方を見ない。
今の自分の顔が、恐ろしい顔であることを自覚しているからだ。
「君は、口を開かないほうがいい。誰かを傷つけておいて、謝れない。
そんな人間は、もう、態度で表すしか無いんだよ」
そして柳田は、里香によって頭を下げさせられる。
土下座の姿勢をとった柳田の口は、当然Aには読むことができない。
これで本当に、Aは柳田が何を言っているのか、知ることはできなくなった。
「・・・・・・、ごめんね。Aさん。僕、部外者なのに、色々と。
って、え!?な、なんで泣いてるの!?」
憂太にそう言われ、Aは自分が泣いていることに気がついた。
止められない。
ぽろぽろと、宝石のような瞳から涙の粒が溢れ出す。
「か、哀しいよね!?酷いこといっぱい言われてたもんね!?あ、それとも僕のせい?
余計なこと、・・・しちゃった?」
ふるふると首を振る。
滲む視界の中で、Aは必死にノートに文字を書く。
《憂太くんと・・・、もっと、早くに出会いたかった、です・・・》
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紅 - ミスりました💦お返事ありがとうございます( . .)" (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - 紅さん» 嬉しいお言葉!!ありがとうございます!!頑張って書きますね!! (2023年4月13日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月13日 8時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - みりかさん» 綺麗で読みやすいって…死ぬほど嬉しい言葉です…。でも普段は丁寧のての字もないです!嬉しいコメント、ありがとうございました! (2023年4月10日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛良 | 作成日時:2023年4月4日 10時