第18話。特級には見えない ページ18
「Aさんも、禪院さんも・・・、怖くないの?」
「名字で呼ぶな」
「ごっ、ごめん」
校舎の中に入ると、呪霊の気配が大きくなる。
帳のせいで辺りは夜だ。誰もいない校舎というだけで怖いのに、夜の学校というだけで怖さ倍増だ。
真希が怖がる様子がないのは予想内だが、と若干失礼なことを考えている憂太は、優しく小柄なAも平気そうに廊下を進んでいく様子に少しだけ驚く。
まあホラーに、優しく小柄は全く関係ないが。
「でも、滅茶苦茶出そうだよ……いや、もう出てるけど」
教室の扉の隙間、机の中、天井、果ては床と壁の隙間からズルリズルリと弱い呪いが這い出てきている。
流石にこれらは祓わない。量が・・・数?が多すぎるのだ。
Aはふるふると軽く首を振り、怖くないよアピールをした。
憂太はその可愛らしい仕草に、ゆっくりと恐怖心が溶かされていくのが分かる。
「おい」
「はい!?」
真希は態となのか、あえて大きな声を出した。想像通り、肩をビクつかせながら勢いよく真希の方へ振り返る。
Aはジトッとした目を向けるが、真希は素知らぬふりをする。
「お前、何級だよ?」
「え、英検?」
「呪術師には四から一の階級があんだよ」
「・・・でも僕、呪術高専来たばっかだし、そんなんないんじゃ――」
ちゃんと質問があったらしい。驚かせただけかと疑ったAは多少申し訳なく思った。
Aは自分の学生証を取り出す。
真希はその様子を見て、Aの言いたいことを理解し、おら学生証出せ!と半ばカツアゲのようなことをした。
「はい、どうぞ――」
「ま、前歴なしで入学なら4級・・・」
「「(特級!?)」」
何もかもが正反対なAと真希の心の声が揃った。
五条先生以外見たことがない、数少ない特級呪術師が彼であることに驚き、Aはまじまじと憂太を見た。
「ど、どうしたの?」
憂太は黙り込んだ二人に焦ったように声をかけるが、真希は学生証を返し、Aはぽん、と憂太の肩を叩いた。
そして何事もなかったようにまた廊下を進み始めた。
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紅 - ミスりました💦お返事ありがとうございます( . .)" (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月15日 17時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - 紅さん» 嬉しいお言葉!!ありがとうございます!!頑張って書きますね!! (2023年4月13日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年4月13日 8時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
愛良(プロフ) - みりかさん» 綺麗で読みやすいって…死ぬほど嬉しい言葉です…。でも普段は丁寧のての字もないです!嬉しいコメント、ありがとうございました! (2023年4月10日 18時) (レス) id: 96b6d360b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛良 | 作成日時:2023年4月4日 10時