【歌い手】瑠璃色少年を抱きしめて【男主】

妥協 ページ35

「久しぶり」

「ほんとな。お前ちゃんと顔出せよ」

「今はちょっと難しいかなー」


目の前の舌打ちでもしそうな雰囲気の男は、レイ。
本名、半合レイ。
不本意だが上司である。まぁそんな雰囲気も規制も何もないから、殆ど同期だ。
うん、同期だ。


「何やってるかは聞かねえけど、」

「聞かないんだ」

「どうせ言わねえだろ。聞くだけ無駄」

「よくわかってらっしゃる」

「…あんま深入りすんじゃねえぞ。…同じ目にあう」

「わーってる」


そんなこと、俺が一番。


「…お前が抱えてんのがどうとか、考えねえようにはしてる」

「そうなんだ」

「…でも、離れられるとこに置いとけ。…離せなくなったら、今度こそ死ぬのはお前だ」


知ってる知ってる。
なんで俺が生きてんのか、そりゃお前には意味不明だろうよ。
知ってる知ってる。
なんで俺が生き残ってあいつが死んだのか、そりゃわかんねえだろ。

俺だって、理解なんてしたくないよ。


「…だぁいじょーぶ。もうすぐだから」

「……へぇ」

「うん」




「…壊すつもり？」

「そんなことしないよ、借り物だからね」

「じゃあどうするつもりだ」

「どろどろにして、ぐちゃぐちゃにして、忘れられないようにして、その後で、









・









捨ててやる」

嗚咽→←応答

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す