服屋 ページ11
「お客様、何かお探しですかぁ?」
明らかに媚を売るような声。
聞きなれた声に俺はため息をつき、それを悟られないよう、笑顔を見せた。
「いえ、少し弟にプレゼントしようと思って」
「弟さんですかぁ?優しい方ですねぇ」
「あはは…どうも」
弟じゃねえし優しくねえし。
いい加減帰れ、と念じながら女から目線を外す。
でも女は消えない。
「でしたらぁ、こういったニットは如何ですかぁ?この冬一番人気なんですよぉ!」
「ありがとうございます」
にこりと微笑んで、目線をニットに移す。
赤か。ななくんには青とかの方が似合いそうだな。
でもこのニット暖かそうだし、色違いあるかな。
「すいません、これの青ありますか?」
「ありますよぉ!他にもブラック、パープル、ブラウンなども揃えております!」
「じゃあ…これの青と茶色ください。あと、Lの冬に合う服を6着ほど。ズボンもLとMサイズを」
「か、かしこまりました!少々お待ちください!」
一気に注文した俺に女は驚いて、慌ただしく店の奥へ入っていった。
俺は手袋や帽子などにも目をやり、眺めていた。
あ、靴もいるかな。
マフラーとか…今冬だしね。
なんて悩んでいると、奥から大量の服を抱えた女が出て来て、俺の前にどさりと下ろした。
「お、お待たせしました!こちらの服が今季人気の服になっております。LサイズとMサイズを揃えさせていただきました!」
「あ…じゃあ、これとこれと…あ、これも。後は…この青と、緑のやつを」
「かしこまりました!」
俺が選んだ服を抱え、次はレジへ駆け込む。
そんなに焦らなくてもいいんじゃないか、とも思うが、焦らせているのは俺だったと気づき、言葉を飲み込んだ。
「合計で3万7千円になります」
「はい、一括で」
財布からカードを取り出し、支払いを済ませる。
ここ初めて来たけどなかなかいいな。
今度からここに来ようかな。
「ありがとうございました!またのお越しを…」
「ありがとう、また来るね」
最後に微笑んで店を後にする。
この店、けっこういいかも。
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漢女(プロフ) - すっごく面白いです!!!続きが気になるぅぅぅ!更新頑張ってください! (2021年10月6日 20時) (レス) @page46 id: 98465022b8 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 面白いです!更新頑張って下さい! (2019年3月12日 10時) (レス) id: 4b7909c7a1 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - ミルクティーさん» ありがとうございます!出来る限り更新していきます! (2018年11月23日 9時) (レス) id: cf2adda2ab (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - 最近更新が多くてとても嬉しいです!こういった話が大好きな私にとっては好きすぎる作品です() (2018年11月23日 0時) (レス) id: 8cebe82b4d (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - みつきさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2018年11月18日 10時) (レス) id: cf2adda2ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏多 | 作成日時:2017年12月1日 16時