祈り�� ページ42
(利吉side)
九連…幼少期の姉さんを知る、数少ない人物。
彼に会ったとき、私はこう感じた。
私の命を救ってくれた日の姉さん…
私が10歳のときに、再開したときの姉さんと…
この人は似ている。
あのときの姉さんと同じ、感情を感じさせないような…
黒硝子のような、輝きの無い瞳。
そして、姉さんと同じ…
凄腕の忍者にすら気付かせないほどの、気配を消す技。
父上と母上ですら、姉さんの気配に気付くことができないことがあるのだから…
アサギリ忍者の中でも、異様な雰囲気の九連さんと、姉さんは同胞。同じ場所で、技を教え込まれたから…？
奥方「九連殿…」
土井「今はAさんが、無事に帰って…目を覚ましてくれるよう…話しかけてあげることが…」
山田「そうだな。A、目覚めたら…」
奥方「…そうね。幸せな未来が待っているわよ。」
新野「…ありがとうね九連くん。雑渡殿も…感謝いたします。」
利吉「それで九連さん…お話が変わってしまうのですが、あなた、ここにいて本当に大丈夫なのですか。」
九連「はい。アサギリ城は、もうすでに落城しましたから。」
「え!?」
土井「どういうことだ…なぜこんなにも早く？」
山田「しかし、どこの城が攻めたんだ…」
雑渡「竜王丸殿と元配下の方々、忍術学園関係者、そしてカワタレドキ城と…そして」
雑渡「丹後一色家ご当主、一色義直。」
「!?」
え?
あまりにも予想外の家名が出て、ここにいる全員が驚愕した。
新野「え…一色家…なぜ一色家が…」
山田「きっと学園長先生だ…」
土井「学園長…？」
奥方「学園長先生が、一色家の家紋付大薙刀を持っていらっしゃったということ。これが意味するもの…それはつまり、Aの実の御兄上と繋がりがお有りということ。」
利吉「実の…？」
奥方「ええ。一色義直氏は、この子の実の御兄さまよ。」
九連「っ!?…まさか…あの一色家の…？」
雑渡「そう。この子は、「一色家未来の頭脳」と謳われた鹿江姫だよ。」
九連「お兄ちゃんが生きていた…」
新野「御兄上殿は、鹿江姫が生きていることをすでにご承知であるということですか…」
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作者名：恋夏 | 作成日時：2022年10月1日 18時
