新野先生の娘は元軍医さん!？【伍】 (ページ42)

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忍術学園のお雇い忍び⑩ ページ42

(夢主side)

雑渡さんはいなくなり、半助さんと二人になった。

土井「ドクササコ忍者たちが目を覚ましたらいけないから、一旦ここを離れ……だ、大丈夫！？」

一気に緊張が緩み、その場に膝からガクッと座り込んでしまう。

城で囲まれたとき、ドクササコ忍者の襲撃、後になって、耐えていた恐怖が湧いてきて、身震いが止まらなくなった。

『こ…怖かった……っ！？』

不意に、温かさに包まれる。

土井「本当に無事で良かった。一人でよく頑張ったね。傷、痛むでしょ。」

どうやら、私は半助さんに抱きしめられている様。
力強くギューッと。

頷くだけで精一杯。
この際、子ども扱いされているかなんて、気にする余裕もない。

耐えられなくて、半助さんの腕の中で顔をうずめる。

土井「っ！！」

『ごめんなさい。ちょっとだけ。』

あったかい…
少しずつ震えが収まってきた。

しばらくすると、頭上から半助さんの声。

土井「交渉は、大丈夫だった？」
『城主の前で、城兵に取り囲まれました。ですが、動揺すれば隙が生まれてしまうので…』

土井「よく耐えたね。さすが月華さん。」
『おかげで、交渉は成功しました。ご恩返しができて…嬉しいです。』

『すみません、何度も甘えてしまって…』
土井「気にしないで。どれだけ経験を積み上げても、技術を得ても、こういうのは慣れないものだよ。」

土井「震え、大丈夫？」
『…はい。』

土井「歩けそう？」
『はい。』

土井「さあ、帰ろう。」
『はい。』

土井「そういえば、お面。」
『つけたままだった…』

お面が当たって痛くなかったかしら…

包まれていた熱が離れていき、私たちは忍術学園へ向けて再び歩き始めた。
そういえば、今晩は満月なのね。

土井「今日は満月か…きれいだね。」
『はい、綺麗な満月です。』