決闘の約束の段�� ページ23
(夢主side)
留三「す、すみません先生…」
今度は伊作の様子をうかがう。
『伊作は、もう眠っているわね。』
留三「伊作には、悪いことをしました…」
そう言い、しょぼくれてしまう留三郎。こんな彼は初めて見たなぁ。
『まあ２人とも、ここ最近ずっと無理をしていたのもあるのでしょう。夜遅くまで鍛錬をして…』
留三「気付いていらしたんですか…」
『これでも一応、元プロ忍ですから。鍛錬は心身の健康があってこそよ？』
留三「はい…」
『留三郎、もしかして焦っているの？』
留三「え？」
『鉄三節棒の練習。焦っているの？』
留三「…」
『きっと伊作もそうね…忍術と医学…一変にやっているのだから、無理もないけれど…』
留三「俺たちは最高学年…来年の三月には…ここを卒業しなきゃならない…」
私は、あの人の言葉を思い出す。
『留三郎。人は生きている限り、死ぬまでずっと何かを見て、得て、考え、学んで生きている。』
留三「先生…？」
『ここを卒業して、就職したとしても、日々体づくりや鍛錬を続けなくてはならないことに、変わりはないわ。卒業までに、ナンバーワンの鉄三節棒の使い手に…そう思い、焦ることはないわよ。』
留三「…」
『最近、ある人からこんなことを言われたの。「成長は、焦らずゆっくりでいいんだよ。だから、自分だけの時間も、大事にしてあげて。このまま無理を続けると、君の体が悲鳴をあげてしまうよ。」ってね。』
留三「自分の時間も大切に…？」
『私もね、ここに来てから焦っていたんだ。生徒へ尽くしたい、早く一人前の良い先生にならないと！！って。自分の睡眠時間や食事時間を削って、授業や指南の準備にあけくれていた。』
留三「先生も…俺と同じ様に？」
『そうだよ。そんな私の状況に気が付いてくれた人が、私に教えてくれて、始めて気付いたわ。』
留三「先生でも、生徒である俺たちと同じこと悩みを持つことがあるんですねｗ」
『先生とか完璧な人間、というわけではないですからね。うふふｗ にしても、留三郎と文次郎、もしかしたら、私と似ているのかもしれないわねｗ』
留三「俺と文次郎がですか！？ないですないです！」
『そう？私はこうして、焦るし、鍛錬バカだし、ライバルに冷ややかな言葉を浴びせることもあるし、勝負を挑むし…』
留三「先生、ライバルがいらっしゃるんですか！？」
『いるわよ。男だけど。』
留三「ええ？」
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作者名：恋夏 | 作成日時：2022年9月20日 23時
