宴の華�� ページ31
(土井side)
土井「…北石、もういいよ。分かっているんだろう？」
北石「…A先生は偶然にも、山名と姻戚関係のある家に産まれてしまった。あの方が自ら決めたわけではありません。」
やはり…北石は学園長先生から依頼を受けて潜入しているんだ…
土井「ああ。」
北石「恨みの念にかまけて、貴方を本気で愛している者を捨てるおつもりか。」
初めてみる…北石の忍者としての顔…成長したんだな…
土井「違う。私は確かめたかったんだ。これまでの通り愛することができるのかと。だが、仇の姿を見て、分かったよ。仇とて人は人。宗全殿にも大切な者がいた。」
北石「…貴方がA先生を捨てるおつもりならば、殺してやりたいと思っておりました。ですが心配する必要はなかったようですね。」
土井「君に説教をされる日が来るなんて思いもしなかったよ。ありがとう。」
北石「いえ。お酌いたしましょうか？」
土井「いや。美酒とはいえ、ぼろを出しそうだから。」
北石「そうですか。」
男��「おーい悠里(ゆうさと)や！三味線を弾いてはくれまいか〜？」
北石「旦はんの頼みとあらば喜んで♡ ほな、また。」
土井「…」
悠里って…まるで花魁の様な偽名だな…(;'∀')
北石「今夜は、何を引きましょか？祇園小唄はどないですやろ？」
男��「おお！！久々だな！！引いてくれ！！」
北石は、座した状態で三味線を持ち、ゆったりと引き始めた。
北石「月〜は〜 おぼぉ〜ろぉ〜に〜 東〜山ぁ〜
霞〜むぅ〜 夜毎のぉ〜 かがぁ〜り〜火にぃ〜」
「「「おおおお・・・・」」」
土井「うまい…」
流石くノ一…だが…まさかここまで三味線がうまいとは知らなかった。
月はおぼろに東山
霞む夜毎のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ
土井「だらり帯か…」
Aが花魁姿になったら…
って！！私はこんなときに何を考えているんだ！！
北石は見事、最後まで祇園小唄を引き語り、客間は拍手喝采であった。
宗全「見事だ悠里よ！！」
北石「おおきに。」
政豊「では、ここで余興と参ろう！！」
男�ぁ嵳抄宗�？」
宗全「では説明をしよう。我が家には、とある若君が遺した遺品がある。」
宗全はそう言うと、箱から何かを取り出す。
土井「！！」
宗全「憎き有馬の末息子が遺した、神楽笛よ！！」
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作者名：恋夏 | 作成日時：2023年3月13日 12時
