新野先生の娘は元軍医さん!？【拾壱】 (ページ27)

今日:30 hit、昨日:12 hit、合計:9,850 hit

鹿野次郎⑤ ページ27

(土井side)

宗全「どうした?紙ではなく別の物が良かったか…?」

地獄に落ちる前に、真っ当な人間になろう…

子どもたちの前で、教師として恥じぬ生を。

己の憎悪の念が故の、自分のためだけの仇討ちなんぞ見せられる行いではないな。

土井「とんでもない、存分に使わせていただきます。」

政豊「それとな鹿野、明日の夜、家臣たちを招いて盛大に宴をする予定なのだ。」

土井「宴…でありますか?」

政豊「ああ、明日は私の息子が5歳になるのでな、祝いの酒を皆に振る舞うのだ。」

宗全「明日はたくさんの膳を用意するからな、毒見役の任も多忙であろう。毒見が終わったら、お主も共に酒を酌み交わそう。」

土井「お待ち下さい、私のような下賤の者が、殿のいらっしゃる宴に参加するなど…」

宗全「今日の褒美じゃ。ここは受けてくれ!」

受けるしか…ないのか…

土井「謹んでお受けいたします。」

政豊「そうこなくっちゃ!!」

宗全「うん!」

下っ端だし、お酌をしていれば問題はないだろう。

酒が入ることで秘密を喋ってしまえば命が危うい。

安易に潜入先での酒は飲むべきではない…

葛藤こそあったものの、正気を取り戻した私は、

ただ生還することだけを考えることにした。