新野先生の娘は元軍医さん!？【拾壱】 (ページ17)

今日:16 hit、昨日:12 hit、合計:9,836 hit

全ての真実⑤ ページ17

(夢主side)

朝食を済ませた私は、手紙を開けて文面を読む。

『これ…』

『半助さんの…記憶が戻った…』

手紙の主は、半助さんだった。

彼の記憶は、ところどころ抜け落ちていて、曖昧だった。

私自身も記憶が一部抜け落ちている。

だから彼の状況をよく分かっていた…けど…

『雑渡さん…』

はじめから、私たちの正体を

すべてを分かっていたのですね。

『しばらくの間、距離を取ってほしい…』

私の母は山名家生まれ。御名は巴江。

私は、半助さんのご両親の命を奪ったかもしれない、

山名の、半助さんの仇の血を引いている。

だから今の彼には、記憶と向き合うための時間が必要なんだ

しばらくの間、自分と距離を取って欲しい、ということだ。

直接言うのが憚られるから、手紙に書いた、ということね。

『はぁ…』

つらい、寂しい、そばにいたいなぁ

けど、彼のためなんだ。

『分かりました。』

黙って受け入れます。

淡々と、淡々と、これまで通り、真面目に生きていれば、

また、元のように、一緒にいられるようになりますよね。

『叔父上がいらっしゃるから大丈夫ですよね』

私は手紙を折りたたみ、懐にしまった。

『おはよう文次郎！仙蔵！』

「「おはようございます！」」

『裏裏裏山から裏山にかけて、昨夜、先生方や作法委員会のみんなが総出になって、たくさんの罠を仕掛けてくださったわ。今日は3人で競争をするわよ！』

文次「競争？」

仙蔵「あいつら…私に気付かれまいと…よく仕掛けたな…」

文次「お前、きちんと作法委員長やってんのか？」

仙蔵「やってる！！」

『静かに～！ルールは簡単。私たちは、それぞれに用意されたコースを走り抜け、ゴールである忍術学園を目指す。道中、罠があるのは当然だけど、ところどころ、互いのコースが合流している区間があるの。』

『もしお互いが鉢合わせてしまった場合は、相手を振り切り、走り抜け、誰が先にゴールへ辿り着くかどうかを競う！いいわね？』

文次「上等です！！やりましょう！！」

仙蔵「面白そうですね。腕が鳴ります。」

『では、スタート地点に移動しましょう！』

当然、私も罠のある場所や、どんな罠が仕掛けられているのか知らない。

唯一分かっていることとすれば…

綾部喜八郎の仕掛けた罠にかかると、１００％試合継続不可能になる…ということだ。

『楽しそう♪』