白狐の鬼狩り様【弐】 (ページ29)

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楽しい工作② ページ29

(夢主side)

秀作「わぁ～！！もうこんなに解答用紙が完成しちゃった♪」

吉野「神薙さん…これは…？」

『これは木版という物です。』

秀作「もくはん？？」

『はい。平らな木の板に、左右を逆にした文字や絵を彫り、完成した板に墨を塗ります。その上に紙を乗せ、均等に力を加えて、墨を沁み込ませると…』

秀作「すごいっ！！これなら失敗することない！！」

『よく見てください？文字の部分だけ、削らずに残っているでしょう？』

吉野「すごいですね…文字の周りを削って…見事な輪郭を作っていますね…」

大正時代はすでに、印刷技術が普及しており、書物も割と手軽に手に入れられる。

この時代には、当然そんな技術は生まれていないから、驚きますよね…

吉野「これなら、私や用具委員の上級生が木版を彫って…秀作くんも小テストが作りやすくなる…」

『しかも、この木版を保存しておけば、来年の１年生の小テストにそのまま利用できますから、先生方のお仕事も少し軽減できると思いますよ。宿題のプリントも同じ要領でやると良いかもしれませんね。』

吉野「なるほど…毎回、腱鞘炎(けんしょうえん)で手を痛めることも無くなりますね…用具委員会のお仕事が増えるでしょうけど…先生方とも分担でやれば時間も短くて済む…」

秀作「そういえば土井先生、腱鞘炎のときに"チョーク攻撃"をすると『痛い』と仰ってましたし…」

『チョーク攻撃？』

吉野「そうそう。土井先生は棒手裏剣の代わりに、よくチョークを打つのですよ。」

え…チョーク折れないんですか…？物理法則が無視されていませんか…？

と、ツッコみたいところだが、ここは抑えよう…

吉野「ありがとう…神薙さん」

秀作「ホントにありがとう！！これなら僕でもお仕事上手にできるよ！！」

『！！』

ありがとう…か…

鬼殺隊員だったときも、お礼を言われてきた。

けれど、それは義務のような面もあり…複雑だったなぁ…

兄が亡くなってからは…相手の言葉が自分の心に響かなくなっていたし…

決戦のあとも、いろんな後輩から「ありがとう」と言われたけれど…

心に届かなくて。

でも、全く笑わないわけにもいかない。

止む負えないときは、無理矢理作った笑顔を、自分の顔面に貼り付けた。

『…』

秀作「A…ちゃん…？？」

私は…鬼を狩ること以外にも…人を手助けをすることが…できたんだなぁ…

知らなかった。

ああ…秀作くんと吉野先生の笑顔…嬉しいなぁ。

(^^)ﾆｺ

秀作「笑った…」