白狐の鬼狩り様【弐】 (ページ20)

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三日月の武器① ページ20

(夢主side)

すっかり日が沈み、みんなが長屋へ帰った時刻。

私は日輪刀を握り、鍛錬に勤しむ。

『藤の呼吸!!』

『迦具土ノ舞(かぐつちのまい)!!』

『焔龍(えんりゅう)!!』

高速で四方八方移動をしながら接近し、
焦土を連想させるような突きを、連撃で入れる型。

技を受けた者は焼ける様な痛みを味わう、撹乱技だ。

蟲柱様と同じ形、鉄珍様に打って頂いた日輪刀…

藤の呼吸には、突き技も存在しており、

この刀で敵に突き技を入れることで、

毒を注入することができる。

また、鞘の中で毒の調合を変えることもできる。

『そろそろ…』

藤の花が咲く場所を探さないと…

そして新たな毒の研究を…

『須佐ノ舞(すさのまい)！！』

『氣龍(きりゅう)！！』

『…』

人の気配がする…誰かが私を見ている…

？？「すいぶんと熱心ですね。」

やがて、人の姿が見える。

『あなたは…』

姿を現したのは、昼間、図書室でお会いした不破雷蔵さん…

ではなかった。

『不破さん…ではありませんね。』

？？「！！」

相手の顔は、不破さんだった。

けれど、波長が彼とは全く異なる、別人だ。

鉢屋三郎さんだ。

歓迎会で挨拶をしたくらいで、まだ個人的に会話はしていない。

鉢屋「…分かるんですか？」

『ええ。』

鉢屋「…あなたは怖い人ですね。」

『双忍…双子…でもありませんよね。お顔は変装ですか？』

鉢屋「ご名答です、神薙さん。」

この方の波長は何というか…つかみどころがない…

こんな人は初めてだ…

『眠れないのですか？』

鉢屋「ええ。少しばかり落ち着かないので、月見をしようと思いましてね。」

『そうですか。』

今夜は三日月だ。

鉢屋「不思議な形の刀ですね。」

『そうですか？』

鉢屋「しかも…白刀(しろがたな)とはねぇ…初めて拝見しました。」

『…』

私の刀の刀身は、二本とも白色だ。

鉢屋「神薙さんは、剣士だったんですね。知りませんでした。

てっきり忍者かと思っていましたよ。」

『はい。剣士です。』

鉢屋「二刀お持ちなんですね。」

『ええ、もう片方の刀は、普通の形です。』

鉢屋「へぇ～」

『鉢屋さんの得意武器は何ですか？』

鉢屋「私ですか？私は…」

鉢屋「鏢刀です。」

『！？』