白狐の鬼狩り様【弐】 (ページ18)

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驚く文次郎① ページ18

(文次郎side)

委員会活動が終わり、俺は会計委員会室で一人、黙々と算盤を弾いている。

潮江「ふぅ…」

やっと帳簿も一区切りついたぞ…

途中ではあるが…部屋に戻って課題をするか…

『潮江会計委員会委員長、お時間よろしいでしょうか。』

潮江「ん？？神薙か？」

『はい』

潮江「いいぞ、ちょうど仕事を終わらせたところだ。」

『失礼します。』

襖が開き、神薙が部屋へやってきた。

『潮江さん』

潮江「ん？？」

『本』

潮江「本？？」

『図書室で借りられている本、返し忘れていらっしゃいますよね。

中在家さんが縄鏢を振り回しながら待っておられます。』

潮江「あ…そうだった…」

最近、帳簿整理が忙しくてすっかり忘れていた…

結局、一週間の延滞…

相当怒ってるだろうな…ｗ

潮江「分かった。道具を片付けたらすぐ返しに行こう。」

10㎏算盤を担ぎ、立ち上がろうとした…が…

潮江「神薙、なんでお前、裸足なんだ？」

『実は、かくかくしかじか…というわけでして、井戸で足を洗ったのはいいのですが、

あいにく替えの忍び足袋を用意していなかったので。』

潮江「はぁ…そ、そうか…」

潮江「はあああああああああっ！？」

今…なんて言った…？？俺の聞き間違いかっ！？

潮江「小平太にお前が担がれたんじゃないのかっ！？」

『え？？』

潮江「普通逆だろ！！逆っ！！」

『は…はぁ…』

小平太に苛立ってしまい、小平太を神薙が背に担いだだと？

あの暴君だぞ！？あの馬鹿力の怪力だぞっ！？

こんな華奢な女がっ！？

潮江「お前…面白い冗談…言うなぁ…ｗあははっ…ｗ」

『なぜ今、冗談を言う必要がありますか？』

潮江「へっ！？」

『？？』

マジか…

潮江「なんか…ま…負けた気分…」

『？？』

俺ですら、アイツの暴君ぶりには手を焼いているというのに…(;'∀')

潮江「と…とりあえずだ…」

潮江「知らせてくれてありがとな」

『いえ、事務員ですから。』

潮江「ん…？？」

あの夜と変わらず、神薙は表向き…無表情だ。

一見、彼女の表情に変化は無いように見える。

しかし…

潮江「お前、楽しそうだな。」

『え？』

(『ありがとう…ございますっ…嬉しい…ですっ』)

(『ありがとうございます…私、みなさんのことをもっと知りたいです！』)

あの夜と打って変わり、泣いたり、笑ったり、

そして、本性を表にのぞかせたり…