善法寺伊作 ページ6
(夢主side)
『私は、医者でもあるけど忍者でもあるからね。家族とはいえ、お互い仕事の話はしないのよ。お二人とは昔、父と共によくお会いしていたの。学園のことはほとんど知らないわ。だけど善法寺くん、あなたの名前はよく知っているわよ。』
伊作「ええっ!?」
『だってあなたは、雑渡さんのお気に入りだもの。』
伊作「ざっとこなもんさんを、ご存知なんですか!?」
『雑渡昆奈門ね。忍者に向いていない、心優しく優秀な保健委員長さん、とおっしゃっていたわ。』
伊作「そ、そうなんですね…」
『あなたは、確かに心優しく優秀よ。誇ってよい才能ね。』
伊作「だけど僕は忍者に向いていない…今回だって…」
善法寺くんはそう言うと、再びうつむいてしまった。
伊作「僕は、不運大魔王と呼ばれているんです。今回は、僕があまりに不運なばかりに、僕の方に矢が飛んできて…僕をかばった新野先生の右足に毒矢が刺さってしまったんです…僕はっ、忍者を目指す者として情けなさすぎる！！」
本当に心優しい少年だ。私の父上と同様に…。この少年が、命がけで父上を守ってくれて、感謝しかない。けれどこのままだと、その性分のせいで自責の念に駆られ、自分自身を追い込んでしまうだろう。
『善法寺くん。忍びは常に命の危険を伴う。それは理解してるね。』
善法寺くんは、真剣な表情でうなずく。
『私は、８年間タソガレドキに身を置ているの。時には敵の城へ潜入し、時には戦場で負傷者の治療をする。それに軍医はね、戦闘力の無い人間として、敵から侮られることも多いから、格好の標的になる。だから余計に、いつ矢や弾が飛んでくるのか分からない。不運とかいう問題ではないよ。
『時には私の軍医仲間が命を落とすこともあった。それでも私や父は、一人でも多くの命を守りたいと願っているから、自分の危険を冒して今の仕事をしているのよ。』
『清八さんから一報を聞いた時は、もし父がいなくなってしまったら…と思ったわ。けれど、ある程度の覚悟はしているわ。今は父の命があるだけで、感謝している。それにね、善法寺くん、あなたが悪いんじゃない。悪いのは…無差別に戦が起こる、この時代よ…』
私がそういうと、善法寺くんは無言になってしまった。
自分に対し、悲観的になる気持ちも分かる。
けれど見たところ、彼は医者顔負けの才がある。
それに若いから、選択肢は忍者になる道だけではないはずだ。
『それにね、いつか自分に自信を持って欲しいな、善宝寺くん…』
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サクラさく。 - はじめまして土井先生も作品大好きでこれからも楽しみしてます！もしもよければイベント再開中「あなたの作品見せて！！《イベント公開中》」参加して見ませんか？好きなアニメやランキングと作品ですが、もしも無理そうであればお断りして構いません。 (2022年10月18日 8時) (
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作者名：恋夏 | 作成日時：2022年8月28日 0時
