驚愕 ページ33
(土井 side)
〜学園長の庵にて〜
学園長「察しがついておるだろう半助。お前さんには、人に知られてはならぬ秘密がある。そして、わしら３人は、その秘密を知っておる。そして、もう一人…」
土井「Aさん…ですね。」
聞くことが怖い。でも、同じ境遇で苦しんでいる彼女を、救いたい。
あの、食堂で親切にしてくれた彼女を。
山田「私は皆の知っての通り、洋一くんとは旧知の仲でね。Aと初めに会ったのも私なんだ。」
「あの子は、少年に身をやつしてアルバイトをしていたんだ。だがあの日、山賊に絡まれ小刀で腕を切りつけられ怪我を負ったんだ。そこへ通りかかった私があの子を助け、新野診療所へ、あの子を連れて行ったんだ。そこからが、あの二人の始まりなんだよ。」
山田「洋一くんは、あの子の心をすぐに解いてね…そこで私は名前を尋ねたんだ。」
(『私、自分の本当の名前、誰にも言ったらいけないの。』)
土井「…」
山田「私も、自分の名前をあまり人には言えない。そう言い、私は先に名乗ったんだ。そうしたら…」
土井「何と……言ったんですか？」
怖い。聞くのが怖い。だけど、聞かなければ何も始まらない。
山田「鹿江…と名乗った。」
土井「鹿江…まさか！？あの…」
山田「清和源氏の流れを持つ将軍家足利氏一門にあたる武家。
丹波一色義貫氏の娘、そして現丹波国守護大名の一色義直氏の妹君、『一色家未来の頭脳』という異名を持つ…」
鹿江姫！？
学園長「わしも最初聞いた時は驚いた。当時は、大騒ぎになったからの。将軍足利義教が行った大守護弾圧の際、鹿江姫は義貫氏と共に命を落としたと聞き及んでいたが。」
そうか…そうだったんだな…
山田「しかし義貫氏が亡くなったのは、私がAと出会うより２年前の話だ。
出会った際、あの子は自分で９歳と言っていた。となると、」
学園長「あの子が親を亡くしたのは７歳。今のあの子が、自分の出生についてどこまで認識しているのかは分からない。」
山田「だが、自分の本当の名前を誰にも言えないということは、Aはかつて鹿江姫と呼ばれていたということに、相違はないだろう。」
そうだな…私の出生ですら、自分が大人になってから全てを理解したのだから、
９歳の少女が理解できるはずはない。だが…
私と同じ…恐ろしい記憶を背負わされている…
戦国の世は、悲惨だ。
私の出生の秘密。
私の父は、将軍足利義教を斬った、とある男の、従兄弟にあたる有馬持家である。
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サクラさく。 - はじめまして土井先生も作品大好きでこれからも楽しみしてます！もしもよければイベント再開中「あなたの作品見せて！！《イベント公開中》」参加して見ませんか？好きなアニメやランキングと作品ですが、もしも無理そうであればお断りして構いません。 (2022年10月18日 8時) (
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作者名：恋夏 | 作成日時：2022年8月28日 0時
