168.縁 ページ32
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「何を言っているんです三日月……」
「っていうか、あの子の三日月さんに対する怯えようは尋常じゃなかったよね?」
ため息を零す宗三に、首を捻る浦島。
「そもそも、あの娘はあからさまに三日月を避けていたしな」
「カッカッカッ! いつも見かける度にびくびくしていたなぁ!」
「兄弟たち、その辺りに……。三日月さんの精神が中しょ」
「……まーったく、図々しいにも程があるだろう、きみは。それに、あの娘と恋愛譚を紡ぐのは俺だと相場は既に決まっている」
「「……はぁ!?」」
「ちょ、鶴さんまで何言って……」
「何を言うか、光坊。きみ達が思っている以上に俺とあの娘の仲は深いんだぜ?」
「鶴丸さん、それ以上は……」
「どうしたんだい小夜坊。何か────」
あるのかい、と言いかけた鶴丸は三日月の方を見て背筋にぞくりと悪寒を感じた。
言うまでもなく、三日月宗近は激おこプンプン近に変化していたのである。……否、そんな可愛いものではない。彼の後ろには般若が見える。
「……っはは、すまんすまん。おふざけが過ぎたな!」
凍りつく雰囲気の中、鶴丸はからりと笑う。「まぁ聞いてくれよ。ぴんと来た」と言って、人の悪い笑みを浮かべて小夜に尋ねた。
「なぁ小夜。きみは俺たちとあの娘の縁が切れたと言ったな。……だがそれは、主従関係の話だろう?」
「……」
「……なるほど。俺達の出会いが無かったことになったと言うわけではないのか」
鶯丸の言葉に鶴丸はその通り、と返す。
「加えて俺にはちょっとしたアテがある訳だが……それはいい。まぁとにかく、完全に縁が絶たれていないのならこっちのものだ」
────
──
刀剣達で話し合いが続く中、小狐丸は難しそうな顔をしている石切丸に小声で話しかけた。
「……どうかしたのか?」
話しかけられた本人はぴくりと眉を動かし、小さく言った。
「あぁ、いや……。あまり意味の無い作戦会議だと思っていただけだよ」
「何故じゃ。いくら我々が神とはいえ、大して強くもない縁を辿るのは難しいことだというのに」
「何故って簡単な話だよ」
石切丸はにっこりと笑って言った。
「────こんなことをせずとも、あの娘は最終的に自分からここに戻ってくるだろうからね」
と。
最も、
その言葉が石切丸の口から出ることは無かった。
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クリスティ38(プロフ) - 刀剣達より、チートなオリキャラな(あの人の)存在とか、意味がわからない。もはや、とうらぶ←ではない。決して。正直おもしろくはない。 (2020年3月7日 14時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
モザイク(プロフ) - 七進さん» 146見れば分かるで (2018年1月9日 23時) (携帯から) (レス) id: d58e8dda44 (このIDを非表示/違反報告)
七進 - ずっと気になってたのですが海零って誰ですか (2017年11月14日 21時) (レス) id: 70dd5f2595 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 初コメです!この作品大好きです。読んでて思わず笑ってしまったり、深いなぁって思います。もうすぐ移行ですね、これからの展開が楽しみです!更新頑張ってください! (2017年7月21日 0時) (レス) id: 9a8890df5f (このIDを非表示/違反報告)
なた(プロフ) - ルイさん» そう言って頂けて嬉しいです……私もカミサマ大好きなのでこれからもカミサマのシーンはちょくちょく入れていきます……!夢主がうろたえる様と一緒にご覧くださいませ(いい笑顔) (2017年7月20日 23時) (レス) id: 3347b4cc6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なた | 作成日時:2017年5月31日 17時