167.恋愛譚?? ページ31
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濃淡コンビの計らいで、係員の女性に案内された。その部屋で、ばたばたと忙しなく動く役人の人達を椅子に座りながら眺める。
諸々の手続きがあるとか何とかで、それが済むまでは私は政府預りの身となった。
それもこれも、私が審神者になった経緯がブラック過ぎたためらしい。
出来ればあのクソ役人には顔面パンチを1発お見舞いしてやりたい。
そして、政府内に用意された私の部屋は結界が張ってある特別仕様になっている。
まぁ、とにもかくにも、私は身の安全が保証された空間で過ごすこととなったのである。
────
──
「……作戦会議をしようとは言ったものの……どうするんだい、鶴丸」
歌仙の言葉に鶴丸はうーむ、と顎に手を当てて首を捻る。
刀剣達はあれから広間に集まって会議をしているが、一向に妙案が浮かばない。完全に行き詰まっていた。
「……みんながやる気のところでこんなことを言うのは気が引けますけど……諦めた方がいいと思いますよ」
そう言ったのは小夜だ。
「鶴丸さんの仮説が真実だろうがなかろうが、あの子はもうここの審神者ではなくなっています。
一番初めの主と縁が切れたように、僕達とあの子の縁は切れました。
余程のことでもない限り、切られた縁は元には戻らないことは、皆さんわかっている筈です」
「────困る」
「え?」
突然上がった声に小夜はそう零して目を丸くする。
「三日月の旦那?」
「困る、と言ったんだ」
薬研の問いかけに、再び強い口調で三日月は返す。
「……これからは距離を縮めていくところだというのに、途中で逃げられては話が進まぬ」
「話? ……何の話だ」
一体何を言い出すんだこの(自称)ジジイは。皆がそう思った中、尋ねたのは大典太だ。
「はっはっは、何を言うか大典太。そんなもの、俺とあの娘の恋愛譚に決まっておろう」
「「────は?」」
三日月の一言に、その場の全員が固まった。
恋愛譚。恋愛譚といったのか、この刀は。
「今まで遊び呆けていた男が、1人の女に恋をする。女は男を嫌うも、徐々にその距離を縮めてゆき、やがて思いが通じあった2人は幸せに暮らす……といったところか。
────劇の途中で主演が降板など許されぬ。そうだろう?」
ふふ、と笑う三日月。
小夜はその微笑みを見て、三日月の言葉の意味を理解し、自らの恩人の不幸さを心の中で嘆くのであった。
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クリスティ38(プロフ) - 刀剣達より、チートなオリキャラな(あの人の)存在とか、意味がわからない。もはや、とうらぶ←ではない。決して。正直おもしろくはない。 (2020年3月7日 14時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
モザイク(プロフ) - 七進さん» 146見れば分かるで (2018年1月9日 23時) (携帯から) (レス) id: d58e8dda44 (このIDを非表示/違反報告)
七進 - ずっと気になってたのですが海零って誰ですか (2017年11月14日 21時) (レス) id: 70dd5f2595 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 初コメです!この作品大好きです。読んでて思わず笑ってしまったり、深いなぁって思います。もうすぐ移行ですね、これからの展開が楽しみです!更新頑張ってください! (2017年7月21日 0時) (レス) id: 9a8890df5f (このIDを非表示/違反報告)
なた(プロフ) - ルイさん» そう言って頂けて嬉しいです……私もカミサマ大好きなのでこれからもカミサマのシーンはちょくちょく入れていきます……!夢主がうろたえる様と一緒にご覧くださいませ(いい笑顔) (2017年7月20日 23時) (レス) id: 3347b4cc6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なた | 作成日時:2017年5月31日 17時