156.言葉の真意 ページ20
.
「何です、折角の平穏を満を持してぶち壊しにきてあげたのに、つまらない。……私としてはもう少しあなたの動揺した顔が見たかったな」
「もう充分動揺してますよ?」
「……相変わらず隙が無い。久々に会ったんですから、もう少し言葉遊びに付き合ってくれてもいいのでは?」
「あなたと言葉遊びなんて恐ろしくて出来ませんよ」
そう答えれば、ふふ、と顎に手を当てて笑いながらカミサマは言う。
「月の出る夜はあなたの顔がいっそう美しく見えて良い」
「……っ、ゔ……!!」
「っ!?」
「────ただ、その周りの羽虫まで見えるのは、不愉快極まりないな」
瞬間、ごふっ、と後ろでくぐもった音がした。後ろを振り向いてみれば、三日月は口元を抑えて苦しそうに喘ぐ。
その手は真っ赤に染まっていた。
再びカミサマを見遣れば、空中で、何かをぐっと掴むように拳を握りながら、笑っている。
────まさか。
「刀剣男士、でしたっけ? ……本体は刀のようですが、きちんと心臓があることには驚きですね。人の身が壊れれば本体も自ずと壊れるのでしょうか?
それは分霊のようですし……あなたに神気を注いだ者達も壊して、……あとは、本霊とやらにもお礼を言いに行きましょうか」
つらつらと言葉を並べる彼は愉しそうに笑っている。その言葉の真意は恐ろしいものだ。
「っカミサマ!!お願いやめて!!」
「……なら、こちらに来なさい。A」
「っう、あ、……っ!」
彼の人差し指が180°から90°へ、くい、と曲げれられる。名前を呼ばれ、ぐんっ、と見えない力が働き、部屋を越えるギリギリまでつれてこられた。
「その境界を越えて、降りて来なさい。そうすれば、やめてあげますよ」
ぐっと歯を食いしばり1歩踏み出せば、彼に抱き寄せられる。すん、と首筋の辺りを嗅がれ、彼はため息をついた。
「……少し、目を離しすぎましたかね。こんなにも他のモノ共に侵されるなんて……私のモノとしての自覚が足りないな」
「……っあなたのモノになったことはありませんし、これからもありません」
そう言って三日月をチラ見した。苦しそうに息をしてるが何とか大丈夫そうで安堵する。
「へぇ、他所見するほど余裕がありますか。
誰とも知らぬモノから神気を流されているわ、私の目の前で簡単に血を流すわ……少し躾が必要ですね。どうせ塞がるこの傷……
────痛ぁく、治してあげましょう」
2084人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クリスティ38(プロフ) - 刀剣達より、チートなオリキャラな(あの人の)存在とか、意味がわからない。もはや、とうらぶ←ではない。決して。正直おもしろくはない。 (2020年3月7日 14時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
モザイク(プロフ) - 七進さん» 146見れば分かるで (2018年1月9日 23時) (携帯から) (レス) id: d58e8dda44 (このIDを非表示/違反報告)
七進 - ずっと気になってたのですが海零って誰ですか (2017年11月14日 21時) (レス) id: 70dd5f2595 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 初コメです!この作品大好きです。読んでて思わず笑ってしまったり、深いなぁって思います。もうすぐ移行ですね、これからの展開が楽しみです!更新頑張ってください! (2017年7月21日 0時) (レス) id: 9a8890df5f (このIDを非表示/違反報告)
なた(プロフ) - ルイさん» そう言って頂けて嬉しいです……私もカミサマ大好きなのでこれからもカミサマのシーンはちょくちょく入れていきます……!夢主がうろたえる様と一緒にご覧くださいませ(いい笑顔) (2017年7月20日 23時) (レス) id: 3347b4cc6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なた | 作成日時:2017年5月31日 17時