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Aは漸く探偵社についた。
疲れた表情を浮かべながら
「はい！！依頼ですか？」
金髪の少年が扉を開けてAに聞く。
「いや、依頼ではなく、帰ってきたんだ。まだ探偵社員ではないけど一応ね。」
そう云って社内の方を見る。
「おお！貴女がAさんですね！僕は宮沢賢治です！！まだ、敦さんは眠っていますよ。」
そう賢治は答え、Aを中へと促す。
Aが中に入ると、Aを見た国木田が勢いよく立ち上がる。
ガタンと音をたてて椅子が倒れる。
「こ、小娘！？お前ポートマフィアに捕まったのではなかったのか！？」
慌てた様子の国木田を見てAはきょとんとした。
「帰ってきたんだ。駄目かい？」
コテンと首を傾げ、国木田に問う。
そんなAを見て国木田は視線を逸らす。
「ん！いや、問題はない。体は大丈夫か？」
国木田咳払いをしながら答える。
耳が赤くなっており、恥ずかしがっていることは一目瞭然だった。
そんな国木田を見てAは一瞬済まなそうな表情を浮かべるが、
「あぁ、体も問題はない。心配をかけてすまない。」
と何事も無かったかのように答える。
しかし、
「わぁ！国木田君！君耳が真っ赤だよ！うふふ面白いねぇ。」
という太宰の一言で二人の努力も水泡に帰した。
国木田はワナワナと震えながら太宰の胸ぐらを掴み、
「おい！この糞太宰！！」
と叫びながら揺らす。
「わぁ、怖ぁい！！」
太宰はおどけて答えた後、国木田の手から逃れる。国木田は不満そうだったが、太宰を止めることなくAをみる。
「まぁ、茶番はこの辺にして、お帰りAちゃん。ポートマフィアで何かされたかい？怪我とかないかい？」
そう心配そうに問う。
怪我はないかと太宰は聞いたが、太宰の視線はAの上着の袖から少し見える包帯へと注がれている。
Aもその視線に気がつき、
「治療してもらっただけだし、問題ないよ。心配かけちゃってご免なさい。」
と答える。
太宰はAに、
「怪我してるなら探偵社で治した方が良いよ？」
と伝える。Aは何故だろうと首をかしげた。
しかし、国木田は青い顔をしてAの後ろを見つめる。
Aが後ろを振り返るとそこには
「あんた怪我してるのかい？妾が治してやろうか？」
そういって不敵に笑む女性が立っていた。
数十分後、ピカピカになったAは思う
＿＿暫く縄と鉈は見たくない…………
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作者名：玉兎 | 作成日時：2019年7月28日 10時
