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Aは狭い路地を歩く。
辺りはすでに暗く夜の幌がヨコハマの町を包み込んでいる。
と、Aは首飾りに触れ問いかける。
「とりあえず探偵社には入社出来てない。ポートマフィアと協力体制をとることになった。そちらは?」
Aの首飾りが光ると同時に首飾りから焦った声が聞こえてくる。
『ひやひやさせんなよA様!!オレ本当にA様が死んだらどうしよう!?って思ったぞ!?』
コウの声である。
と、それよりも高い声がコウを咎める。
『……コウ。きちんと何があったか報告だろ?A様。こちらは見つかることなくポートマフィアの隠し通路を発見。これから使えるよう、詳しく調べて………』
フクがAにそう伝えているとコウが割り込む。
『今そっちに向かってる!もうすぐつく。』
『あのなぁコウ?』
二人の様子にAは笑ってしまう。
とAの後方から足音が響く。
「A様。」
フクがAに云うとAは振り返り笑う。
「さぁ、帰ろうか。」
___ポートマフィアのビルの最上階。森はエリスと共に執務室へと戻っていた。
森が椅子へと座ったところを見計らいエリスが問いかける。
「リンタロウ、あの子気に入ったの?」
エリスの云うあの子とはAのことであろう。
森は机に肘を付き頭に手を当てて考え込む。エリスはその様子を見てやっぱりそうなのねと一人ごちる。
「…………不思議な子なのだよ。」
森の曖昧な答えにエリスは頷く。
「Aは不思議よね。私もあの子好きよ?」
不思議、そうとしか言い表せない彼女を森は気に入ってしまったのだろう。
判りやすいのに判りにくい。
そして何より、
「彼女のあの顔を見たとき目が離せなかった。彼女の
__なかせたい
彼女の意地悪で妖艶な表情を見た森はそう思ってしまったのだ。
それをエリスは感じたのか
「リンタロウの変態。」
と森に対して呟く。
森はえええ!と何時ものように声を上げながらエリスに抗議する。
__彼女は何者だろうか。彼女の仲間とはどんな人物なのだろうか。
何時もの二人のやり取りをしながら森は思う。
森は窓からヨコハマの町を見下ろす。
夜__それはマフィアの時間。
夜を写したような風貌の月のような少女は森の頭から離れることはなかった___
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作者名:玉兎 | 作成日時:2019年7月28日 10時