推ししか勝たん！ ページ10
＿草間 side＿
｢あ〜、かっわええなぁもう…｣
ソファに寝っ転がりながらスマホを眺めているAの顔は恍惚としている。
草間｢…まーた見とんのか｣
小島｢ほんま飽きへんよなぁ｣
その画面の向こうには、
Aの推しである井上瑞稀くん。
どうやら彼が出ている少クラを見返しているようだ。
｢ほんっま可愛ええ…。無理かっこよ…｣
末澤｢どっちやねん｣
｢どっちもやねん！！！｣
あーあー、また不機嫌になっとる。
Aが推しにキャーキャー言っとると、末澤がいじけてむすくれるのはもはや定番となりつつあった。
佐野｢…なんでペンラ持ってるんすか？｣
｢今からソロやから！！！｣
福本｢ガチオタやないかい｣
正門｢なのにこの子も同じジャニーズなんだから不思議よなぁ｣
スマホの画面に釘付けになっている彼女の隣に
のそのそと末澤が座る。
｢えー…意味わからん何なん可愛ええ…｣
草間｢語彙力どこに置いてきたん｣
黙ったままベッタリと彼女にくっつく末澤。
うっとりとした表情のA。
｢ﾋｪｯ…かっこよ…しぬ…｣
小島｢大丈夫や人間そない簡単に死なんで｣
彼女の髪をくるくるといじる末澤。
心臓を抑えるA。
｢目でっか顔ちっさスタイルえっぐ女やめよ｣
佐野｢大丈夫ですAちゃんは世界一可愛いですよ！！｣
彼女の手で恋人繋ぎをし始めた末澤。
もう推ししか見えていないA。
末澤｢……A｣
｢んー？…あ待って今の何むり｣
末澤｢…なーあー！｣
隣から強く抱きつくも、どうも推しには勝てない様で。
…末澤が可哀想に見えてきたわ。
｢っはぁ〜…ほんま好き…｣
渾身のデレデレ顔でそう呟くAに、
むすくれた末澤は口を開いた。
末澤｢…俺のことは？｣
草間｢(……末澤お前は彼女なん？？？)｣
スマホに夢中の彼氏に問いかけるめんどい彼女みたいになっとるやんいいんかそれで。
草間｢(今こんなこと聞いても無視されるだけやと思うけどなー)｣
末澤に同情しながらその光景を見守っていると、
｢………まぁ、割と好きやよ｣
末澤｢……へ、｣
草間｢………まじか｣
推しを見ている時とはまた違った可愛い顔で
少し照れたようにそう言った。
末澤｢待って今のもっかい！もっかい言って！録音する！！｣
｢嫌やわもう言わんわ！
っあ、待って今のもかっこええ！！｣
草間｢(……こいつらなんなんやろ)｣
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作者名：透夏 | 作成日時：2020年5月31日 0時
