Aぇ group の女のコ . (ページ45)

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憧れをこの手にページ45

入所してしばらくしても、
私への陰口や嫌がらせは止まなかった。

むしろ止むどころか、酷くなる一方で。

しかも何処から漏れたのか、
『ジャニーズに異例の女が入所した』という今はまだ公開しないはずだった情報が世間に流出し、
ファンからもまた激しいバッシングを受けていた。

＿｢なんでここに女が居るんだよ｣

＿｢早く辞めろよ｣

そんな罵詈雑言はもはや日常と化し、
けれど幼く弱い私はそれに慣れるはずもなく、
ただただ必死に耐える毎日だった。

しかしそんな日々にも
少なからず私の居場所はあり、
それだけが心の拠り所だった。

今江｢Aちゃーん、はよ行くでー！｣

大橋｢今日はついに新しい曲のフリ出来るんやろ？楽しみやんなぁ！｣

リチャ｢俺とAちゃんはダンス苦手やもんなぁ、ほな頑張らな｣

他にも話しかけてくれる人はいたが、
同期の中でも特にお世話になっているこの三人は、
こんな私にも本当に優しくって、つい涙が出そうになる。

末澤｢…｣

けれども、何日経っても末澤くんとの距離は縮まらず。

彼は五つも歳上ということもあり、
まだ十歳だった私にはそれだけですごく怖かった。

それに、何より私に嫌悪感を抱いている様子で、迂闊に近付けないのが本音で。

…陰口こそは言わないものの、

きっと彼は誰よりも私を嫌っている。

けれど多分それは、彼の"ジャニーズ"への憧れの強さ故なのだろう。

…なんて、そんな考えで割り切れるほど
この時の私は大人ではなかったけれど。

大橋｢Aちゃん？置いてくで～？｣

｢あっ、今行きます！｣

しかし毎日レッスンについて行くので精一杯な私は、その距離を縮めるのは後回しにしていた。

草間｢今日も残って自主練するん？｣

｢はい、ただでさえ出来てないんで…
人より何倍もやらんと｣

大橋｢そっかぁ、無理せんとな？｣

｢あ、ありがとうございます…！｣

元々歌うことは好きだから助かったが、
ダンスはやった事がなかったので、スタートラインにすら立てていないという現実が突きつけられた。

だからこうやって毎日、
出来ない自分に嫌気が差しながらも
ひたすらに練習を重ねる。

｢(…いつか、みんなに認めてもらえるように)｣

そしていつか、私もみんなを笑顔に出来るように。

軽い気持ちでただ何となく抱いていた憧れは、

日を追う事に強まる一方だった。