恋人の条件 ページ26
＿小島side＿
佐野｢"優しくしてくれるけど、たまに怒ってくれる人"、ですかー｣
いつものようにレッスンに取り掛かろうとしていると、
ふと佐野が突拍子もなくそう声をかけてきた。
小島｢ん？｣
佐野｢昨日のAぇTVですよ。恋人に求める条件は？ってやつ｣
小島｢あー｣
小島王のやつね。
小島｢変にただ優しいだけは嫌やない？｣
佐野｢確かに分かりますけどね。
でも俺、料理が上手いとか子供好きとかやと思ってました｣
小島｢まあそれも俺的には大事やけどな〜｣
レッスン始めるよー
とAの声がかかり、
一 会話を止めて各々振りを確認し始める。
｢(…恋人に求める条件、ねぇ)｣
未だにそんなことを考えながら
俺もさっき習った振りの確認に入る。
｢(うーん…別に、好きになった人がタイプやし、
条件とか特にそこまでないけどなぁ)｣
…あれ、ここの振りこれでええんやっけ？
全身の動きを鏡で確認しようと思い顔を上げた時、
丁度くるりと振り返ったAと目が合った。
それにつられ、ふわりとポニーテールが漂う。
｢(…あ、)｣
そして彼女は合った視線を逸らすことなく、
目の前までやって来た。
｢小島、｣
随分と身長の差が大きいものだから、
見上げるような形で彼女は口を開き、
｢…集中、してへんやろ｣
眉をしかめながらそう問うた。
｢今も、さっき散々習ったとこ分かんなくなってたやんな。
…もう、駄目やで？
公演とか控えてる訳でなくても、
ちゃんと集中せなあかんよ｣
いつものおちゃらけた様子は一切なく、
"先輩"としてしっかり諭してくれている。
普通なら先輩と言えど、
同い歳の女の子に怒られるなんて情けない話や。
…なんやけど、
小島｢(…あれ、なんか、)｣
｢…小島？｣
小島｢…おん、すまんかった｣
｢ふふ、分かればよろしい｣
なんか、へんなかんじ。
｢にしても、さっきから何か変やよ？
ずっと、ぼーっとしてるし。
…なんか悩み事でもあるん？｣
そう心配そうに顔を覗き込んできた。
…んんん、いや、悩み事というか…。
｢丁度休憩なったし。
私でよければ、何でも聞くで？｣
小島｢……あんなぁ、なんか今、キュンときてん｣
｢………お？｣
小島｢結婚するんやったら、
Aみたいな女の人とがええなあ｣
｢………おお？？？｣
末澤｢……………はぁ？！？！｣
いや、誠也くん地獄耳やん
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作者名：透夏 | 作成日時：2020年5月21日 16時
