GF(グレイスフィールド)の双子 2【約ネバ】 (ページ9)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:25,249 hit

50. 作戦　(レイ　目線) ページ9

医務室にて……。

「珍しいわね。あのノーマンとケンカなんて。」

「ちょっとした方針の違いでね。」

「で、話って何かしら？」

「ノーマンがママを殺そうとしてる。」

昨日話し合った結果、
塀の下見の邪魔をされないよう、
ママに嘘の情報を流す事にした。

(ママとシスター。それぞれを他の所に目線を向かせれば、こっちの作戦に気付かなくなる。それに…)

なるべく下見の際に、ママ達に俺達の居場所を確認する空きを与えない事だ。

「あいつ、リスク無視で賭けに出てる。動きを止めるには殺すしかないって。」

「…まぁ、想定の範囲内ね。全員で逃げるとなればそうも考えるでしょう。」

金槌、除草剤、洗剤、他にも使えそうなヤツを片っ端から。それら全てはただのアリバイ。

「あの、短過ぎるロープも？」

「ああ。俺は止めたんだぜ？間違ってる、ヤバ過ぎるって。それでこのザマ。」

「…毒殺ね…。それはかなり厄介ね…。」

大丈夫、きっと上手く行く筈だ。
そう今までこうやって制御して来たんだ。

「途中出荷なんてゴメンだ。あいつらには最後まで生きてほしい。何不自由のないハウスで…！
…だから中身すり替えようぜ…偽物に…！」

「場所は分かってるのかしら？なら明日にでも対処しましょう。」

……ここまでは上手く行った。
ここで、報告は終わりだけど…。

ママはただ、俺を見ている。
探りを入れてるのか？

「他に気になる事でも？」

「いいえ、ただ、昨日の定時連絡で上から通達があった。次の出荷が決まったわ。

来月の定例出荷はない。」

次の出荷は最短で2ヶ月後…。なら、

「１月は俺の誕生日。
次の出荷はいよいよ俺か。」

今まで他のやつの出荷を見てきた。
そして次の出荷は俺。

皮肉をこめ笑ってやったら、
ママも同じ様に悪笑みを返す。

「今の内にでも、ちゃんと楽しみなさい。
好きな子に告るか、なんでも…ね。」

…ハッ…最後のお節介かよ…。
ママが医務室から去るのを見届けて、
俺は窓際に寄った。

窓から見えるのは、A達が花壇の水やりをしている。

(…あの花が咲く所は見られねぇな。)

それでも懸命に育てるAの姿を見ていて思った。

「……仕方ねぇけど、あの鈍感女に伝える。」

この長年の片想い(俺の気持ち)を…。

…まぁ、無事に塀の外に(• •)出られたらの話だけどな。