GF(グレイスフィールド)の双子 2【約ネバ】 (ページ14)

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番外編: 君が見る世界　レイ目線ページ14

(はぁ…あの馬鹿。面倒な事引受けやがった。)

自分がどれだけ鬼ごっこで不利なのか知ってるくせに…。

いくらノーマンのフリって言っても皆に怪しまれたら、フリって所じゃねぇだろ。
近くにいるエマの身体にいるノーマンに耳打ちをする。

「…仕方ねぇ。俺がサポートに入るから。お前はいつもの様に鬼ごっこで残れ。」

ノーマンも端からそのつもりなら話は早いな。
後はAらしく鬼ごっこするだけだ。

……………

「……やけに眩しいな。」

木々から透き通る太陽の光が、俺の顔を照らしてくる。

いつもの前髪が無いせいか、周りは明るく見える。いや……それは多分。

(……、あいつだからか。)

Aは姉のエマより泣き虫で、鬼ごっことか身体を張った遊びは苦手なくせに、ムキになって上手になろうとしたり。

普段は何考えてるのかわからない時もあれば、天然みたいにおっとりの癖して、かと思いきや感が鋭かったり。

「…本当、お前は見てて飽きねぇな。」

だからこそ、あいつ……Aから目が離せなかった。

森の奥へと走っていく度に揺れるオレンジの長い髪。

髪から漂うあいつの香りが鼻を擽り、
鬼ごっこしてるあいつの笑顔が脳裏から過ってきた。

(……って、なんでこんな事思い出してんだ…。俺は。)

適当に隠れて、Aが通りかかったら捕まえて貰おう。

『あっ、レイ！じゃなくてA見つけた！！』

……とそう思ったけど…。

…ダッ……！！

「…ふっ、捕まえてみろよ。ノーマン。」

『えっ、ちょっと！レイっ！？』

「…それともなんだ？ノーマンはそれくらいでへばるのか？」

『私はともかく、僕はこの程度で負けないよ。』

ただ捕まるなんて面白くない。
たまにはAから追ってほしかった。
俺だけあいつを追いかけててなんか癪だ。

「…こんな時に身体入れ替わってなけりゃ良かったのにな。」

Aはいつもノーマンばかり追いかけている。自分を見向きもしない相手だと知っていても尚、あいつは止める事を知らない馬鹿だ。

(で、その見向きもしない馬鹿に惚れた俺も馬鹿だな。)

『待って！A！！』

「俺はAじゃねえ……レイだ。ちゃんと見ろよ。」

一瞬だけでもいい。俺の事考えろよA。

「…やっぱギブ。後はノーマンだけだ。ガンバ。」

『…？』

これはちょっとした、ノーマン好きのお前へのイタズラだ。