【募集企画本編】黄昏時、なる頃に (ページ4)

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最悪だ。

息を切らしてまで散々逃げ回っておいて行き着いた先はなんと行き止まり。そして目の前にはこの先は通さないといいたげな警告看板とチェーンが行く手を阻んでいる。
この先を超えても彼女に追いつかれてしまってもどちらにしろ命の保証はない、絶体絶命とはまさにこのことだ。

「誰かー！！助けてくれー！！！！」

俺は今更何を叫んでいるのだろうか。人なんて来なさそうなこんな場所に、すぐ助けなんか来るはずないのに…。

そう考えているうちに彼女が追い付いてしまい刀を持ったまま近づいてくる。

(俺はこのまま殺されるのか？最愛の恋人に。嗚呼、でも好きな人に殺されるのなら別にいいか…。)

全てを諦めた瞬間

「窮鼠の一撃！」

どこからか女性の声が響いた。

朦朧としていた意識を浮上させると、彼女の背後から少女が刀を持って現れその刀を彼女に突き刺した。

彼女は刺された左胸を抑えながら呻き声を上げ、苦痛に顔を歪めながら意識を失い倒れた。

「な、刺されて！大丈夫か！？」

駆け寄って様子を見てみると刺されたはずの彼女からは刺された跡などはなく呼吸もいつも通りになり先程までの苦しそうな表情からいつも通りの穏やかな表情に戻っていた。刀が貫通したかのように見えたのだが気のせいだったのだろうか。

彼女の手から離された刀に目を向けると刀から黒いモヤのようなものが空中を漂っているのが見え、そのモヤを少女が再び刀で斬ると浄化されるように刀ごと消えていった。

(一体何がどうなっているんだ...)

現実離れした突然の出来事に目を白黒させていると、助けてくれた少女と何処から現れたのかさっきまではいなかった少年が心配そうな表情を浮かべながらこちらへ向かってきた。

「大丈夫ですか？怪我はありませんか」

「俺は大丈夫ですが恋人が心配です。それよりも貴方達は...？」

「申し遅れました、わたし達は──」

彼女達は【アイギス】と名乗った。