【銀魂】花時の青い夢【合同企画】 (ページ36)

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ちゅっと軽く口に触れたのはまぎれもない神威の口だった。目を大きく見開いて何が起きたのか理解しようとしている私に彼はこう口を開いた。

「キスしたいってずっと思ってたぐらいAのこと好きだよ」

「……っ、」

「もっとAに触れていたいしね」と私の頬に触れた彼の手。顔が熱くなり、俯いた。嬉しくってくすぐったい。思わずにやけそうになってしまう表情筋。

息を飲み、思い切って私は彼の胸に飛びついた。ぎゅっと抱きついて「……好き」と小さく呟く。神威の胸越しにドッドッドッと心臓の音が伝わって来た。

「うん、知ってる」

「……へへっ、なんか恥ずかしい」

「ねぇ、A。向こうの方にハート型の花畑あるみたいだから行こうよ」

そういうの好きでしょ、と誘った彼に顔を上げると、ちょうどバッチリと目が合う。顔をそらし、「早く行こ」と私の手を引っ張った彼の頬はほんのり赤色に染まっていた。

歩いている途中に、無造作に繋いでいた手は自然と指を絡みあっていた。

「一つ聞いていい？」

「なに？」

「さっきドリンクワゴンのところでなんであんなに怖い顔してたの？」

「人一人殺しそうなぐらい怖かったよ」と戸惑いながら尋ねると、ごめんと謝られた。責めている訳ではなかったから謝ってほしかったのではないけれど、彼は「アレはね」と話し始めた。

「Aを遠くから眺めてたんだけど、男二人組が話しかけようぜって言ってたから」

「……えっ？」

「ナンパされるところだったんだよ」

だから神威は私を守るために鬼の形相…というか怖い顔で私のそばに来たらしい。それを聞き、守られてると実感が湧いて来た。

「神威！私今すっごい青春送ってる気がする」

笑うことだって、泣くことだって
いろんなことがあるけれど

それでも

私の青春は君といる時間の全てだよ

fin