▼ ページ20
怯える少女の様子を見て、少年は嘲笑した。高飛車な貴族が今、目の前で自分を見て恐れていることに優越感を覚えたのだ。満足した彼は踵を返した。否、返そうとした。
「す、すごい！触れることが出来たわ！」
少年の歩みは少女の手によって止められた。初めて庶民に触れた彼女はいつも聞かされていた庶民とは違う反応をする彼に興奮の様子を隠せなかった。
「貴方良い人ね！やっぱり貴方に案内してもらいたいわ！」
「……俺もそこまでこの街のことは知らないからな」
少女の熱量に負け、少年は深く溜息をつき彼女の手を握り再び歩み始めた。
「はんばーがー……？サンドイッチじゃなくて？」
「さっきから別物だと言っているだろう。お前阿呆なのか？」
「なっ！違うわよ！」
「じゃあなぜ違いがわからないのだ……」
貴族の少女と美しい見た目の庶民。彼女達の横を通り過ぎる人々は皆彼女らを一瞥しひそひそと話をしていた。周りから刺さる視線を彼は気にしていたが彼女はそれにも気付かず自身の無知を晒していくばかりだった。
「O帝国にはこんな素敵なものがあるのね！今夜の食事にも出してほしいくらいだわ！」
「じゃあお前も庶民になれ」
少年のその言葉に少女は歩みを止めた。
「どうすれば庶民になれるの？」
「名誉を失うとか、地位を落とすとかまあそこら辺だな」
「あと……」
「あと？」
「庶民と結婚でもしたらなれるんじゃないか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 407人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クリーパソ(プロフ) - 田中さん» そう言っていただけると励みになります✨ありがとうございます🥺 (11月26日 21時) (
レス) id: f7b2af521d (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - 本当に面白くて好きです (11月26日 17時) (レス) @page36 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)
クリーパソ(プロフ) - 月見酒さん» コメントありがとうございます🙇♀️登場人物の多い小説は慣れていないので楽しんで読んでもらえるのはとても嬉しいです🥲✨無理ない程度に更新していきます💪 (10月30日 7時) (レス) id: f7b2af521d (このIDを非表示/違反報告)
月見酒(プロフ) - コメント失礼します！面白くてすごく続きが気になります！お体に気をつけて頑張ってください！ (10月29日 20時) (レス) @page15 id: d4a0fc9775 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クリーパソ | 作成日時：2023年10月26日 21時
