【d!】拗らせ系幼馴染とたらし系先輩 (ページ3)

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じりり…

じりりり…

聞き慣れた音に少し鬱陶しさを感じて重たい体をぐっと起こすあなた。
これだから朝ってやつは、と言いたげなため息が口からこぼれる。

彼女が起きてまずすることは顔を洗う…ではなくカレンダーに印をつけることだ。

｢ゾムにフラれてから今日で1年と9ヶ月。うん！我ながら女々しすぎる！｣

まだあの少年、希が好きかと訊かれれば彼女はすぐに首を横に振る。
じゃあなぜこんなことをしているのか。目的はただ1つ、希に同じような気持ちを味わってもらおうというものだった。

可愛い、好きだとむこうから言ってもらった日には
｢嬉しいけどごめんね。私彼氏いるから。｣
と後ろにキラッという効果音でもつきそうなくらいのドヤ顔を彼にお見舞いしてやりたいのだ。
傷つけて味あわせるより、自慢の方が彼には効くだろう。というのが建前で、本音は幼なじみに酷いことはしたくはないが屈辱は味わってほしい、これが本音だ。

だがどんなに周りに可愛いと言われても彼本人の口からは聞いたことがなく、さらには肝心の彼氏すらできないのが現状況である。

｢早く彼氏ほしい〜。こんなのまだ私がゾムのこと好きみたいじゃん…もう好きじゃないんだけど！勘違いしないでよねっ！｣

誰もいない場所でそんなことを小さく叫ぶあなた。
ちらっと横目に見えた時計の針は大きな7を、小さな針は6を指していた。
彼女は準備に1時間はかかり、学校までは歩いて20分はかかる。
学校に遅刻しないためには8時30分には着いていないといけない。

さーっとさっきまで少し赤かった顔は一気に青ざめ、絶叫とともに彼女の朝はスタートした。