アドベントカレンダー【SZ】

恋人はサンタクロース［2］ ページ9

◇



「楽しかった。やっぱ俺はイベント好きだからさ。
もう最高だったね」

「いーなー。健人くんのセクシーメリークリスマスをドームで聞きたかった」

「でも家でふたりでクリスマスパーティーできるのはAだけだよ？」

「…うん。そうだね」


頷く私に微笑みかけて彼は椅子から立ち上がり、自分の部屋に入ってしまった。

どうしたんだろう、と待っていると部屋から戻ってきた健人くんが私の後ろに回り込む。

首元に手が回ってきたと思ったら、デコルテに冷やりと何かが触れた。
胸元を見ると華奢(きゃしゃ)なダイヤのネックレスが光っていた。


「クリスマスプレゼント。A、メリークリスマス」

耳元で囁きそのまま耳にちゅっと唇が触れる。


「耳元でのウィスパーメリクリはAだけしか聞けない特別仕様だから」


色気はとても感じるし、すごくロマンチックなシチュエーションなんだけど、ウィスパーメリクリという言葉が健人くんらしくて思わず笑ってしまった。


「ありがとう」

後ろに立つ彼を振り返りお礼を言う。

「いーえ」

席に戻った健人くんに

「どうかな？」
と自身の髪をよけてネックレスを見せると

「よく似合ってる」

当然そう言うだろう、という答えが返ってきた。


「肌身離さず身につけてね？」


この重さは健人くんって感じがする。
私は笑って頷いた。




デザートのケーキまで食べたあとはソファに移動してコーヒーを飲む。
プロジェクターが小さな音量で洋画を部屋の壁に映し出していておしゃれな雰囲気を演出していた。



「A」

「ん？」

彼が体を私の方に向けて改まって尋ねてきた。

「何か俺にしてほしいことある？
今年のクリスマス当日一緒に過ごせなかったから、健人サンタがAの願いを今叶えるよ」

「健人サンタって」

笑ってしまうが、本人は至って真面目な様子。

「恋人はサンタクロースって言うじゃん？
それにこんなゆっくりできるの、久しぶりじゃね？」

たしかに久しぶりだ。


「ずっと忙しかったもんね。何にしよう。プレゼントはもらっちゃったしなぁ…
お願いはなんでもいいの？」

「なんでもいいよ」




◇

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