アドベントカレンダー【SZ】

愛が続くおまじない［3］ ページ19

◇



勝利くんが立ち上がって、壁際に行き
「ちょっときて」と私を呼ぶ。

「Aちゃんはこっち」

肩を掴まれて、ここに立ってと誘導される。
壁に私の背中がつき、その目の前に勝利くんが立った。


「キスしていい？」


勝利くんからのお尋ねに

「え、急だね」と私が笑う。

「壁ドンからのキス？」

「ドンはしない。隣の家の人に迷惑でしょ。夜だし」


おぉ、さすが。現実的ボーイ。


「ドンはしなくても、俺が壁側ってカッコつかないじゃん」

そう言いながら私の頭上の壁に肘をついている。


「そうかな？勝利くんがすればなんでもかっこいいよ」

「へぇ。そう思ってくれてるんだ」

「あー、うん。勝利くんはかっこいい」

「Aちゃんからそう言われるの、嬉しい」


そのまま唇が触れ合った。
いつもどおり強引さのない優しいキス。



「…なんでここでしたの？」

誘導されて立たされた場所に意味があるのかと思い尋ねると

「それだよ」

彼は壁の上の方に飾ってあるものを指さす。

枝に緑の葉っぱがついたフェイクグリーンのような、クリスマスならではの壁飾り。

「ヤドリギの下でキスすると愛が永遠に続くって言い伝え、知らない？」

あぁ、なるほど。
くすくす笑ってしまった。

「知ってる。有名だもんね。
でも、勝利くん、そんなことする人だとは思わなかった」

「えー、そう？」

「だって古の言い伝えになぞらえるってロマンチックじゃない？
健人くんの影響？」


「……その呼び方はなしでしょ」


彼の指が私の唇に触れる。


「彼にはケンティーって愛称があるんだから、下の名前で呼ばないでよ。
そんなことされると俺ふつーに妬くんだけど」

「え…」

「メンバーに嫉妬とかまじでかっこわるいから、したくないのに」

私が何か言う前に唇が塞がれた。
いつもと違うちょっと強引な感じにドキドキしてしまう。



「ごめん。私あまりグループについて詳しくないから愛称よりも、芸能人の名前をただ呼ぶ感覚で言っただけなの」

キスのあと謝ると

「うん、わかってる。そんなことだろうとは思ったし」

肩をすくめて体が少し離れた。



◇

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