アドベントカレンダー【SZ】

先生って呼ばないで［2］ ページ14

◇



私の部屋に先生を招き入れる。


「松島先生。私、先生としたいことがあって」

入室して早々話しかける。

「え？したいこと？」

「はい！コスプレ大会しましょう？」


「Aさん、何を言ってるの？」
松島先生は笑っている。



部屋の隅に置いていた段ボールを先生の前に引っ張ってきた。

「クリスマスの装飾品の段ボールの中にあったんです」

開封して中身を見せる。


「これ衣装？」

「そんな本格的なものではないんですけど」

私が中から服をふたつ引っ張り出した。
サンタとトナカイのコスチュームだ。



クリスマスシーズン真っ只中のお屋敷は、メイド達のおかげでツリーやリース、赤やゴールドのオーナメントが各部屋、廊下に飾り付けられていた。

そのメイドたちがツリーを出す横を通った時にこの段ボールを見つけたのだ。




「ね？せっかくだから着ましょう？」

「僕も着るの？」

「もちろんです！2人分あるので。先生はトナカイですよ」

「え、サンタじゃなくて？」

「サンタはスカートなんですよ。
トナカイはツナギだから、先生はこっち」

トナカイのコスチュームを広げてみせた。


ていうか一体誰が着てたんだろう？
まさかお父様？！…なわけないか。


「じゃあAさんはそれを着てくれるの？」

先生がトナカイのツナギを受け取りながら聞く。


「そうです。それで、写真撮ってクリスマスの思い出にします。楽しそうじゃないですか？」

「そっか。いいね。じゃあ着替えようか」




先生はバスルームに入ってもらい、私はウォークインクローゼットで着替える。

着替え終わった鏡に映る自分は、普段では考えられない様相だ。
こんな短いスカート履いたことない。


膝小僧がすこし心許(こころもと)ないのもあってドキドキしながら部屋に戻ると、着替え終わった先生がすでに部屋で待ってくれていた。

トナカイの大きめのつなぎが、ゆるキャラのような可愛いらしい雰囲気を醸している。




◇

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