先生って呼ばないで［1］ ページ13
◇
クリスマスディナーに松島先生を招待した。
「ご両親もいらっしゃるかと思って構えてたんだけど、ふたりっきりなんだね」
メインのビーフステーキマデラソースを切り分けながら先生が言う。
ひとくち食べて
「うわ、おいし」
と思わず呟いていて、その様子を見て笑ってしまった。
「お気に召したようでよかったです。
料理長、お客様が来るって張り切ってましたから」
「うん、すごく美味しいね。さすが西園寺家だね」
「私はもう慣れてしまって…」
「そっか」と先生は笑う。
「あ、それで両親なんですけど、いつも取引先のクリスマスパーティーに行っていないんですよ。
私、クリスマスはいつもひとりでこのお屋敷で夜ご飯食べてるんです」
「ごめん。そうだったんだ。それは寂しかったね」
「いえいえ。それももう慣れてしまったし、いつもマリウスがいてくれたので、そんなに寂しいこともないんです」
空いたグラスにシャンメリーを注いでくれている隣に立つ執事を
「仕事ですので」
マリウスは相変わらずにこりともせずそう言う。
「こんな言ってるけど、根は優しい執事なんですよ」
先生に一応そう伝えると
「そうだろうね。それは伝わってる」
と頷いた。
「できることなら僕がずっとそばにいてあげたいんだけど」
「先生のその気持ちだけで十分です。
それに今年は一緒に夜ご飯が食べられるなんて、とっても嬉しかったですし」
「うん。僕も嬉しかった」
食後の紅茶を先生の前に置きながらマリウスが
「本日はお泊まりになりますか？」
と尋ねる。
先生と顔を見合わせた。
せっかくのクリスマスだから私はずっと一緒にいたいけど…
「…あの、それは大丈夫なんですか？」
松島先生の質問はかなり具体性を欠いていたが
「大丈夫とは？お嬢様のお部屋という密室で一晩ふたりっきりにさせることについて、ですか？」
執事はご丁寧に先生の言わんとすることを具体的に言葉にしてくれた。
「えっと…まぁそうですね」
松島先生が苦笑する。
「先生を信用しておりますので。
それに、お嬢様も松島先生といたいと顔に書いてあることですし。
クリスマスの夜ぐらい、おふたりで過ごされてはいかがですか？」
「マリウス！ありがとう！先生、一緒に過ごしましょう？」
先生が答える前に私の方から誘ってしまった。
彼は少し困ったような顔をしながらも、
「じゃあ年に一度の特別な日だからね」
と言った。
◇
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にこ(プロフ) - らららさん» 健人くんのクリスマス好きのせいでアフターメリクリが市民権を得てますね笑❤️くんは番外編を読みたいという声があって書いたので、好きなお話だったとお墨付きを頂き安心しました〜私も主題歌絶対可愛いの来てほしいです！！お話更新、がんばります！ (12月27日 12時) (
レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - エコさん» ささやかではありましたが楽しんでもらえたようで私も嬉しいです♡本編リピートまでして下さりありがとうございます！しかも最高とまで…☺️これからも気に入ってもらえるお話がお届けできるよう頑張ります！コメントありがとうございました！ (12月27日 12時) (レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - にこさん、アフターメリクリ😂お話全部読みました！どれもキュンとしましたがあえて言うなら、じんわり温かい愛が伝わってくる❤️くんが好きです。松永さん楽しみですね！かわいい主題歌来ないかな〜来年もにこさんのお話楽しみにしてますね。 (12月26日 19時) (レス) @page22 id: bfbf98f4de (このIDを非表示/違反報告)
エコ(プロフ) - にこさん、アドベントカレンダー形式の素敵なXmasプレゼントありがとうございました！本編が特に大好きなお話ばかりだったので、リピートした上で今回のメリクリ番外編を堪能させて頂きました。んー！最高♡連載中のお話も構想中のお話もずっと楽しみにしていますね！ (12月25日 21時) (レス) @page1 id: 5cc8ec5019 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - らららさん» 鷲掴みだなんて嬉しい限りです。いや、なんとなく自担だけかなぁと私が思っているだけです。らららさんは全員読んで下さってますよね。いつもありがとうございます😊今回は超短編ですが楽しんでもらえると嬉しいです♡ コメントありがとうございました！ (12月23日 19時) (レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年12月22日 15時
