file 23 残忍酷薄 ページ25
「でも大丈夫ですよ。もう把握しているので」
抑揚のない声で冷たくそう言った青年は慈悲もなく
男達の額を撃ち抜き、命を奪っていった。
任務終わり、盲点をついた街中のビル
組織の情報を他勢力に売る彼らに捕まったフリをして、こっそり連絡のついていた公安警察を待ち一網打尽に。拘束したのち逆に情報を喋らせようと思ったのだが
膝から血を溢れさせて急に倒れ出す男達
いったい何かと考えていたところに黒い影が落ちてきて冒頭の流れに至る
テキーラ
その名前は組織に潜入する前の時点ですでに耳にしていた。
組織における優秀な始末屋であり。テキーラはジンの手先である
幹部クラスなのに、調べてみるも性格、容姿。なにも出てこなかった謎多き人物
「あら、バーボンあなた。あの子の事が気になるの?
じきに会えるでしょうから、今探るのはやめておきなさいな」
不意に、一度ベルモットに彼女の事を聞いてみた時の声が脳に響く
イヤホンに手を添えてジンに連絡を取る背中は、日々見慣れた世界のものと比べてとても小さい
あの子、と呼ばれただけあるな
大人びているが間延びした話し方からして、実年齢はもっと若いのだろう
「あぁ、けっこうやられましたね。せっかく綺麗な顔なのに」
テキーラの呼んだ処理班が慌ただしく動く中、彼は僕の拷問まがいな暴力を受け傷ついた顔や腕を見ると「痛そう」と呟いて目を背ける
油断しきっていたんだろう
バイクに向かう彼に声をかけると銃口を向けられ、僕だと認識すると目に見えて安堵の息を吐いた。
長い前髪の隙間から見える垂れた眉と切れ長の目、小ぶりの鼻と薄い唇
マスクについた変声機を通さず聞いた声は心地よいアルト
____女性だったのか
先ほどまでの冷気さえ感じさせるテキーラはもうそこにいなかった。
「まぁ、実際高校生なので──」
普段目にする普通の女子高生と何ら変わりない
なぜこんな子が組織にいるのか
なぜこんな子がテキーラと呼ばれ、組織内でもトップを争う汚れ役を担っているのか
なぜ、こんな子どもが
《降谷さん、先ほどの待機命令は…》
「風見か。せっかく動いてもらったのにすまなかったな。テキーラと接触した。また連絡する」
《えっ!ちょ、降谷さ》
全員去ったのを確かめたとはいえ、つい先刻まで組織の人間がうようよしていたのだ。
油断はできまい、と携帯をしまい込んでその場を速やかに後にする
「あなたより倍も長く組織で動いてるのよ。舐めたマネはしないことね」
再度ベルモットの声が頭に流れて
それがどうしようもなく自分を不快にさせた。
file 24 温厚篤実→←file 22 バレちったアッチャー
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ぽんかん(プロフ) - さちさん» 長く更新を止めていてすみません 執筆頑張ります! (2019年3月29日 0時) (レス) id: 63034df575 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月28日 18時) (レス) id: 10b64abb1f (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - のん@天使から墮天使のウオタミ(?)さん» 読んで下さりありがとうございます なかなか筆が進みませんが、がんばります! (2019年3月18日 1時) (レス) id: 63034df575 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使のウオタミ(?) - 四字熟語が、題名な作品は見たことが無かったので、新鮮さを感じました!これからも頑張ってください!応援しています!(#・∀・)♭ (2019年3月10日 17時) (レス) id: 5bc91f0494 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - あお果実さん» 他作品含め読んでいただいてありがとうございます。お心遣いとても嬉しいです 執筆がんばります(*´∀`) (2019年3月6日 2時) (レス) id: a9e8a7b60c (このIDを非表示/違反報告)
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