44.ごめんな ページ5
#Aside
もう開くことのないはずの瞼がゆっくりと持ち上がる。
見覚えのある天井がボヤけて見えた。
あぁ。無理だったのか。
ut「あ、おはよう。」
『う、つ…さま…』
ut「あー！動いたらあかん！じっとしとき。」
側に居てくださった鬱様は、私の体をゆっくりと起こして、腹に巻かれた包帯を丁寧に外していった。
いくつもの縫い目が見え、反射的に目を逸らしてしまう。
一頻り検査が終わったのか、鬱様は濡れた布で傷周りを拭き始めた。
ut「Aちゃんお肌綺麗やのに、こんな傷つけて勿体無いわぁ。」
『…どのくらい眠っていましたか……』
ut「んーざっと一週間やな。」
『一週間も…』
ut「もー大変やったんよー？」
包帯が巻き直されていく。
その中で鬱様は、この一週間にあったことを全て話してくださった。
どうやら、コネシマ様の様子が不安定らしい。
毎晩夜中に起きて寝室を出ると、明け方まで帰ってこないとか。
いつもは必ず場内でとっていた食事を城下で済ませるようになったとか。
ut「Aちゃんが気にする事やないけどな。とりあえずみんな呼んでくるから待っとって。」
ヒラヒラと手を振る鬱様を見送って、もう一度横になった。
グルッペン様の話はしてくれなかったなぁ。
まだ帰っていないのか。
会わせてくれないだけなのか。
『…これからどうしたら……』
kn「別に気にせんでええんちゃう？」
『おぉああぁぁ？！！』
ゴロッとベッドから落ちると、腹に激痛が走った。
あ、これ多分開いたぞ。
血出てきたぞ。
kn「お前もそんな声出すんやなぁ。」
『コッ、コネシマ様っ！！』
kn「デカい声出すな！誰か来るやろ！」
腹を抱えていつもの高笑いをするコネシマ様に、安堵よりも恐怖を感じた。
あの冷めた瞳が忘れられない。
ズキズキと痛む腹を押さえてなんとか立ち上がる。
『いつから、ここに？』
kn「昨夜。」
『昨夜？！』
なんてことだ。
まさか夜中に寝室を抜け出して、私の部屋に来ていたなんて。
絶対殺すつもりだったのだ。
私を殺さんと、ずっとその機会を待っていたのだ。
見たところ武器は持っていないようだが、コネシマ様なら私くらい片手で殺せてしまう。
あの笑顔がただひたすらに怖いのだ。
体の熱が引いていくのを感じた。
『お許し、ください。どうか、どうかお許しください。』
kn「何を？」
『お許しを、どうか…』
kn「おい、やめろって。」
ガタガタと震える私に、コネシマ様の手がのびてくる。
このままじゃ殺される。
私は咄嗟に悲鳴をあげてしまった。
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らりるれろん(プロフ) - 更新停止ですか…ずっと待ってます。この作品がとても好きです、応援してます。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎまる - 好きです、こじれ具合とても好きです、応援しております。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
うめる(プロフ) - 好きです(唐突な告白) (2018年10月9日 1時) (レス) id: 78e56762eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もろと | 作成日時：2018年3月12日 23時
