41.サイコパス ページ2
#zm side
ちょっとだけ心配だった。
俺ら見たいな男共が、たった一人の女の子を責め立てるなんて。
グルッペンが惚れとるんやっけ。
俺にはAが色目なんか使う奴に見えへんけどなぁ。
『Aさーん。僕ですよー。』
お節介かもしれない。
もしかしたら、Aはこんなことで傷付くタイプじゃないかもしれない。
それでも少しは気になってしまった。
真夜中、わざわざ部屋を抜け出してやって来たAの部屋。
『起きとるかー？』
軽くノックをしても返事がない。
扉の隙間から明かりが漏れてるし、鍵もかかっていない。
怪しくないか？
『Aー。』
何故か冷や汗が滲み出てきた。
何や、この嫌な予感は。
俺の勘は時々気持ち悪いほどよく当たる。
『起きろ！起ーきーろ！』
その瞬間。
ふと、鼻を不快な臭いが掠めた。
何度も何度も何度も嗅いだ、あの臭い。
そう、血だ。
気付いた時には扉を開いていた。
一番に視界に入ったのは、青かった絨毯に黒く滲む血溜まり。
そして、そこに倒れるA。
腹に突き刺さったナイフを見るに、自分で死のうとしたんやな。
でも残念。死ねてないわ。
ut「んもぉ……夜中に起こすんやめてくれ。」
『スマンスマン。ちょっとこれ見てや。』
俺は怪我の手当てとか分からんから、とりあえず大先生を叩き起こして来た。
寝起きで機嫌の悪い大先生をAの部屋に入れると、半開きだった目がぐわっと開かれる。
おぉ、ちょっとおもろい。
ut「ゾ、ゾムさん……」
『僕ちゃうからな。』
ut「じゃあ、これはどういうことなん？」
『ほら、腹んとこ見てみ？これ切腹やで。』
大先生はおもむろにAの首もとへ手を伸ばす。
しばらく手を当てていたと思うと、不意に安心したような顔をした。
ut「生きとるな。」
『おう。』
ちょっと安心した様子の大先生は、手当ての道具を取りに行くからと言って自室に戻って行った。
取り残された俺は眠ったAと二人きり。
俺は一つ、大きな溜め息を吐いた。
『可哀想やなぁ。』
なんでいきなり死のうなんて考えたんやろ。
俺らに嫌われたのが嫌だったから？
グルッペンが居なくなって、責任感じたから？
何にせよ、一番おもんないやんか。
『死にたいなら僕に言ってや。』
いつでも殺したんのに。
一番楽な方法で。
さっき大先生がやっていたみたいに、Aの首もとへ手を伸ばす。
今、ぎゅってしたったら、一番楽に死ねるで。
どうやA。お前がそうしてほしいなら、俺はこの手に力を込めるだけや。
どうする？
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らりるれろん(プロフ) - 更新停止ですか…ずっと待ってます。この作品がとても好きです、応援してます。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎまる - 好きです、こじれ具合とても好きです、応援しております。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
うめる(プロフ) - 好きです(唐突な告白) (2018年10月9日 1時) (レス) id: 78e56762eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もろと | 作成日時：2018年3月12日 23時
