煙草の話。【松田陣平】

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"そういやAって誕生日いつなんだよ"






"今日ですね"





"今日！？！？"







いつの間にか年が明けて、1月8日。数日間正月休みで松田さんに会えていなかったが、その分メールをしたりしていたので特に寂しい思いはせずに過ごせた。




なんとなく程度で聞かれた私の誕生日。松田さんは私の返答に、なんでもっと早く教えてくれねぇんだよ！！と何故か怒っている。



自分の誕生日は、家族以外に教えたことが無い。教えたところで何かある訳でもないと思っていたので言わなかった。祝ってくれるのは家族だけで充分だと考えていたので、周りにいる子達よりプレゼントが少なくても、彼女たちと同じくらい嬉しかった。







"取り敢えず祝わせろ。"





"気持ちだけで十分嬉しいですよ"




"気持ちだけ？それは俺が許せねーぜ。後で楽しみにしてろよ"




"ありがとうございます。楽しみにしてますね"






家族以外になにかプレゼントが貰えるだなんて。初めての経験が今日訪れることに、早くも心が飛び跳ねそうだった。







"んじゃ、また後で"





"はい、行ってらっしゃい"







いつもより早く仕事に向かう松田さん。一体どんなプレゼントが貰えるのだろうとふよふよ頭の中で思い浮かべる。






アクセサリー？スイーツ？玩具？人形？






自分の欲しいものでなくても、彼から貰ったという時点で充分嬉しいのだからなんでも大歓迎。何時もより早く来てくれないかな、なんて我儘を思ってみる。






誕生日だもの。それぐらいの我儘いいよね。








"悪ぃ、ちと遅くなった…！"







結局、何時もより15分遅れて、松田さんはやってきた。










片手に、高級感溢れる小さな箱を持って。

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