[A]ddiction

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暖かい湯気が立ち上る。
中身はなんてことの無いコーヒー。



きっともうすぐ、来るはず。



あたしより緊張してる人いるけど笑
ほんま昨日の夜からうるさかった。



ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ



らしくない態度で出迎えるたか兄は、前回会った時に比べてどう見えるかな。
余裕のない姿を流星はきっと見破るはず。



『こんにちは、藤井流星です。お邪魔します』


『…おう』



事前に伝えといたたか兄の好物。
2人で一緒に買いに行ったメロンパンを緊張した面持ちで渡すと、たか兄がぱっと笑顔を咲かせた。



『めろんぱん！ありがとう！』



流星がくすっと笑う。
メロンパンを手にした時だけは、子供に戻るから。



｢流星ーこっちー｣


『あ、うん』



堅くならないようにと精一杯気を使ってソファーへ。
コーヒーもお菓子もたくさん散りばめた。
後に続いてたか兄も正面に座る。



なんか実際にこうしてみると、お見合いか結婚を許してもらいに来たみたい。笑



『あの、俺』


『好きにしい』


『え？』


『別に俺のもんやないから』



メロンパンのおかげで元の調子が出てきた。



『見たんは君なんやろ？びっくりさせてごめんな』


『いや…えっと…』


『普通、教えたってくれ』



流星に喋る隙を与えない。
たか兄らしい自己中さ。
突き放して見守るんや、



『俺があげれんかったもん、君ならあげれるやろ』



笑ってた。
そうは見えないかもしれないけど、あたしの目には確かに笑うたか兄が映っていた。



『頼むわな』



お兄ちゃん。
それはまさしく



兄の姿。

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