7.昔の話 ページ8
私は肩から胸あたりに走った激しい痛みに耐え切れずその場で意識を手放してしまった。
ただ意識を手放す前に見た景色には
私に風のような速さで飛んでくる私より2、3倍大きい、見たことも無い怪物だった。
気がついた時には王宮のベットの上だった。
兄上達は気がついた私を見るや否やわんわん泣きながら力いっぱい抱きしめてきた。
一体何が起こっているのかわけがわからなかったが体に巻かれていた包帯で理解出来た。
痛み止めを飲んでいるおかげで痛みに苦しまずにはすんだのだが、母上と父上にこっぴどく怒られてしまった。
あの優しい母上ですら顔を顰めて怒るくらいだったから自分は本当にとんでもないことをしでかしてしまったんだとこのとき初めて気づいた。
...それから何十年もたった今でも怪物にやられた傷は残っている。
肩から胸にかけて大きな三日月形の傷。
それは、私のトラウマにはならなかったのだが。
父上達のトラウマになってしまったのだ。
なんせ国王の一人娘だ。
まぁ、全部私の自業自得なんだがなぁ...。
私は再び本を探す手を早めた。
ソー兄上私が勝手に外に出たこと知ったら怒るだろうなー。
でも、1度始めたらもう止まらないのが私の本能というものでな。
...もう一度アイツに会いたいんだ。
ある程度本を取って部屋に帰ってきた。
この難しい書物を私の頭の中でどう整理するかが問題だな。
開いてみると文字がズラーッと並んでいてしかも細かい。
今晩でできるとは思えんが、
「やってやろうじゃないか...。」
この魔術と情報を頭に詰め込んであの赤青男に決闘を申し込んでやる...。
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作者名:いしころ | 作成日時:2019年5月19日 18時