１５. ページ16
ディナーを食べ早歩きで母上の部屋へ向かう。
母上が私に話ってなんだろ。
まさか外に出たのがバレたんじゃないだろうな。
母上なら有り得るが...。
まぁバレてたとしてもそれはそれで適当な対処をするしかないか...。
なんて考えながら歩いていると母上の部屋に着いてしまった。
コンコン、とノックをすると
中から「入りなさい」と優しい母上の声が聞こえた。
「失礼します母上。」
フリッガ「待ってましたよ。さぁ、座って。」
少し警戒しながら、母上の目の前にある椅子に座る。
「えっと、話があると聞いて来たのですが一体なんの御用で？」
フリッガ「...外の世界は楽しかった？」
「はい？い、今なんと...。」
フリッガ「ソーやロキを騙せても私は騙せませんよ。外の世界へ行ったのでしょう？」
頭の隅に置いてあったが、予想はしていた。
母上は騙せない。
「...いつから気づいていたのです？」
フリッガ「さぁ、いつからでしょうね。」
「か、勝手に外に出たことは申し訳ありませんでした。ですが、私ももう子供ではありませんしそれに...。」
フリッガ「わかっています。だから、私は今回のことは何も責めようとなんて思っていませんよ。」
「え、お、怒らないんですか...？」
フリッガ「昔のあなただったら...怒るかもしれませんね。けど、今のAは強い子です。」
「母上...。」
フリッガ「それに想い人もできて、立派な女性になったと言うことでしょう。」
...ん?
「お、想い人？私に、ですか？」
私に想い人なんかいたか？
フリッガ「人間の少年に恋をしているのでしょう？」
「人間の少年...。」
ピーターの顔が頭をよぎる。
瞬間顔がボッと熱くなった。
フリッガ「あら、やっぱりそうなのね。」
「かかか、彼は、た、ただの友人です！！け、決して想い人なんかじゃぁ、」
母上はニコニコして私の反応を楽しんでいるように見える。
フリッガ「いいんですよ、まだ気づかなくっても。そのうち気づくでしょう。」
「き、気づくも何も...。」
フリッガ「人は誰しも恋に落ちるものです。決しておかしいことではありませんよ。」
すると母上は私を優しく撫でた。
フリッガ「子はいつか旅立ってしまうもの。成長するAやソーやロキも輝いています。けど親はこの成長に比例して寂しさも募らせていくものです。」
「母上...。」
フリッガ「私達はもう束縛するようなことはしませんよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いしころ | 作成日時：2019年5月19日 18時
