第98話「力量」轟side ページ49
ただの脅し文句のつもりだった。
「動いてもいいけど、足の皮剥がされちゃ満足に戦えねえぞ。」
自身から吐き出された白い息に眼前が曇る。
……つまらねえ。
仲良く身動きを封じられたこいつらを見てふとそう思った。
同じヒーロー科でも能力の高低差がこうも桁違い。
その実感に俺は自身の身に宿る可能性を信じて疑わなかった。
…そうだ。俺はこいつらなんかよりも強い。
だからきっと、"この手だけ"で必ず………！
ガシャァン！！！！
「っ…！！」
無意識のうちに核へと伸ばしていたらしい右手を、反射で直ぐ様引っ込ませる。
いつだったか…餓鬼ん頃、突然目の前で見るからに高額な壺が落下してきた時のような、肝が一瞬で冷え変えるような衝撃だった。
身構えていなかった破砕音に鼓膜が激しく震え、その振動が脳にも伝い、強制的に覚醒させられ思わず嘔吐くような不快感。
心臓が素手で鷲掴みにされたかのような感覚は、心底気分が悪かった。
一瞬一瞬で起こる出来事に心身共に追いついていかない。まさか本当に自分から損傷しにいくとは思わなかった。
ただ、1回の瞬きで鼻先まで迫っていた蹴りに、ほぼ脊髄反射頼りに退いて、考える暇も無く氷を盾に形作る。
重力に従う身体は、退いたはいいもののそのまま体勢を変えられず、氷の張った床へと倒れて背中を強打する予定だった。
だがそれを阻止したのは、皮肉にも分厚い氷を貫通してきた人並み外た力の強い蹴り。
「なっ…！？」
顔を両手で覆い、なんとか受け身をとるが、その意味すら見出せなくなる程に、俺は成す術無く、痛みすら感じる風と勢いと共に後方へと吹っ飛ばされる。
その勢いと、それに伴う衝撃を殺す為、背後にもう一度氷壁を形成するよう試みたが、無駄だった。
「カハッ……！」
内臓が追いやられ、肺に吸い込んでいた冷気が一気に吐き出される。
氷と何かが軋む音に混じり、背骨が悲鳴をあげた。
約束された痛みよりも倍となった激痛が、全身に襲いかかる。
相手を見くびり、侮っていた浅はかさによる自己嫌悪と、突然の浮遊感に、俺は吐き気を催した。
─────は…？ 壁すらも貫通して突き落とされたのか……？
途絶えない浮遊感と、今この瞬間にも離れていく天井に、嫌でも状況を認識しては、自分の身を守る為、咄嗟に個性を使った。
氷に瓦礫を巻き込んで、右も左もわからない失った方向感覚を手探りで補い、無我夢中で何とか下の階へと足場を繋げる。
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Acer(プロフ) - mikki-さん» 反応が遅れてしまい誠に申し訳ありません…！ 確認しました。改めてこちらの方でもお礼を述べさせていただきます。素敵なイラストをありがとうございました！！ とても嬉しかったです…！！ (2019年2月27日 21時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - どうも！元Clarisです！また喰種くんを描かせて頂きました！！ちょっとしたものですけどhttps://img.u.nosv.org/item/misamisahiroto/1550939565 (2019年2月24日 1時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - ちょっと、バイト行ってくるわ。(真顔) (2019年1月11日 0時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 神宮さん» 宇宙(小並感) (2019年1月9日 13時) (レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - 新婚旅行は何処がいい？(イケボ) (2019年1月8日 18時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Acer | 作成日時：2018年8月10日 17時
