第90話「認識」 ページ41
柱の隅に、脱いでいた靴を無造作に投げ捨てる。
そんな時後方からハガクレの意気込んだ声が聞こえてきた。
「尾白くん、
私、ちょっと本気出すわ。手袋もブーツも脱ぐわ。」
言いながらに、早速手袋を脱ぎ出すこいつ。
オレはそんなハガクレの下へと、引き止めるように間近に迫った。完全に見えなくなる前にやっておきたいことがある。
ダランと垂れ下がった手袋から、こいつの手首の位置を想定し、徐に掴む。
「え…？」
結果宙を切ることなくしっかりと感触を得ることが出来た為、そのまま軽く胸元へと引き寄せては、見えないことを理由にどことなく顔を埋めた。
声帯から発せられる気の抜けた声が、至近距離にあるオレの鼓膜を震わす。柔らかな糸が頬を掠め、ふんわりと石鹸の香りが漂った。
「〜っ！？！？」
「
片方見えてないけどっ……！！」
すると何やら慌て出した様子のオジロに、それに便乗するかの如くオレの腕の中で声にならない叫びを上げ始める
…よし。これで大方は覚えた。
「ついでにお前も。」
「え……？ 俺も…？
しかもついででそういうことされると結構悲しいんだけど……」
オレが改めて身体を向け直すと同時に、どことなく虚しさを露わにしたこいつの心情には気にも留めず、問答無用で胸倉を掴んでは、同じ様に引き寄せ首筋に顔を埋めて鼻を鳴らした。
…こいつもよし。
これで離れていてもこいつらの居場所がある程度は推し量れる。
普段ならここまで念入りに確かめる必要性もなかったのだが、なんせ異臭ありふれるこの異世界。となれば訳が違ってくるわけで、以来個人個人を特定するには、予めしっかりとした認識要素が必要になった。
これはそれらのほんの対策だ。
要件を終えた為、一度こいつらを残して部屋から出る。
その際2人の引き止めようとしながらも、最終的に躊躇した様が辛うじて収まった視界から見て取れたが、そこは敢えて無視することにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 592人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Acer(プロフ) - mikki-さん» 反応が遅れてしまい誠に申し訳ありません…！ 確認しました。改めてこちらの方でもお礼を述べさせていただきます。素敵なイラストをありがとうございました！！ とても嬉しかったです…！！ (2019年2月27日 21時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - どうも！元Clarisです！また喰種くんを描かせて頂きました！！ちょっとしたものですけどhttps://img.u.nosv.org/item/misamisahiroto/1550939565 (2019年2月24日 1時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - ちょっと、バイト行ってくるわ。(真顔) (2019年1月11日 0時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 神宮さん» 宇宙(小並感) (2019年1月9日 13時) (レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - 新婚旅行は何処がいい？(イケボ) (2019年1月8日 18時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Acer | 作成日時：2018年8月10日 17時
