第81話「警告」 ページ32
「………お前の方こそ何が言いたい。」
そんなオレの様子を悟り、少なからずの怒気を孕んだらしいこの人は、言いながらに鋭い訝しげな眼差しを向けてくる。
発せられた声は至近距離が相まってかやけに脳に響いた。
「…片脚さえ上げれば楽々超えられるものを、態々勢い付けたり、馬鹿正直に飛び越えるのは、滑稽なだけのお門違いだって言ってるんだよ。」
積もる煩わしさになんとか肘でこいつを追いやろうとするも、自由の効かない身体だと矢張り思うようには上手くいかない。
往生際悪くもそれすら認め切れず、皮肉混じりにそう言い返してやれば、こいつの目付きは更に鋭さを増した。
鈍く光る血眼は槍のように鋭く、強面がそれらを飾る。
不服に歪んだ表情のまま、互いが際限を知らずに黙りを決め込んだ。
「っはぁ……」
数秒か、或いは数分か。
時間の概念を忘れさせる静寂の中、ふとしてそんな糸の切れる音がした。
まるで息をする事を忘れていたかのような深い深い溜息は、然し乍らそのままどこまでも溺れていきそうで。
同時に諦めが付いたように、センセーがその
目をひっそりと伏せた。
それを合図としたかのように、この人の浮き立っていた長髪は次第に落ち着きを取り戻していき、瞳は光を宿さない真っ暗闇を自覚した。以前の気怠さが戻っている。
「……いいか、これは"警告"だ。
そんな生温い心積もりで、今後ヒーロー科としてやってけると思うな。」
「…………。」
一呼吸程隔て、告げながらに束縛を解いていくこの人の動作には、なかなかどうして感傷されるものがある。
突然喉の渇きを感じた。
何も言葉にできない。
「…それだけだ。今日はもう帰ってよし。」
訳がわからない。
ただ、じりじりと得体の知れない焦りのような何かに身を侵食されていく悪感に、それらを押し留めることだけに必死になった。
そんな中、ただ一つ思えたこと。
この人のこういうところは苦手だ。
「………オレに人殺せって言ってんのかよ…」
遠くなっていく背中にそうか細く問うたが、答えなど返ってはこなかった。
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Acer(プロフ) - mikki-さん» 反応が遅れてしまい誠に申し訳ありません…！ 確認しました。改めてこちらの方でもお礼を述べさせていただきます。素敵なイラストをありがとうございました！！ とても嬉しかったです…！！ (2019年2月27日 21時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - どうも！元Clarisです！また喰種くんを描かせて頂きました！！ちょっとしたものですけどhttps://img.u.nosv.org/item/misamisahiroto/1550939565 (2019年2月24日 1時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - ちょっと、バイト行ってくるわ。(真顔) (2019年1月11日 0時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 神宮さん» 宇宙(小並感) (2019年1月9日 13時) (レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - 新婚旅行は何処がいい？(イケボ) (2019年1月8日 18時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Acer | 作成日時：2018年8月10日 17時
