第54話「はじめまして」 ページ4
A。
この言葉を聞くのも随分と久しい。
この世界でオレという存在が初めて認識されたかのような心地は、元々この名前イコールでオレを指す人が限られていたからか、それでもわりとすんなり収まるものがある。
「大方入試に関する話だろ。」
「こちらも対応するにしてもしきれなかったからな。お前の方から出向いてくれて助かった。
……ついてこい。」
そう言うや否や、背中を向け顔だけをオレに寄越し目配せする男。
気怠げなくせして、テキパキと事を進めていくその様には、意外性というか、一向に馴れを感じさせないものがあった。
ださらか尚更口を挟む暇もなく、ただただ従順に従う他ない。
「…まあ実際は、住所無記入に前もった連絡無しの突然訪問。それら全てが、実に合理性に欠けるけどね。助かる以前の問題だ。」
門を潜り抜け一歩先を行きながら、突然そんなことを呟く男。
結局何が言いたいのかわからなかったが、差し詰め面倒だからこそ事を急くいているのだという印象に変わった。
校舎に入り、何度か角を曲がりながら、とある部屋まで案内される。建物内にいる人間は多いだろうに、授業中なのかここまで誰1人としてすれ違わなかった。
暫くして男は歩みを止め、付近の扉に手を掛ける。
「此処だ。」
中へと入り込んでいった背中を追いかけると、部屋の中心にはテーブルが設置されており、そのテーブルを挟んだ手前と奥の両サイドには、質の良いソファーが正しく据え置かれている。
そんな質素な談話室の中で真っ先に目に付いたのは、その奥側のソファーで行儀良く腰を落ち着かせた1匹の小動物だった。
……おいまじかよ。
「…鼠？ それか熊？」
「……っあ、わかったハムスターだろ。」
まさか扉を開けた先に小動物が待ち構えているとは思ってもみなかった。
故の初手驚愕の一色に塗り潰された第一印象から、思わず何の動物かと熟思してみる。すると隣に立つ男に凄まじい勢いを持った血眼で睨まれた。
別に怖くはないが、何故そのような目を向けられるのか、目星が付かない。
臭いからしても、単に着ぐるみを着た人間じゃないのは確かだろ。
香水か何かを纏っているのは気になるが。
「鼠でも熊でも、ましてやハムスターでもない。校長さ！」
……小動物が喋った。
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Acer(プロフ) - mikki-さん» 反応が遅れてしまい誠に申し訳ありません…！ 確認しました。改めてこちらの方でもお礼を述べさせていただきます。素敵なイラストをありがとうございました！！ とても嬉しかったです…！！ (2019年2月27日 21時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - どうも！元Clarisです！また喰種くんを描かせて頂きました！！ちょっとしたものですけどhttps://img.u.nosv.org/item/misamisahiroto/1550939565 (2019年2月24日 1時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - ちょっと、バイト行ってくるわ。(真顔) (2019年1月11日 0時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 神宮さん» 宇宙(小並感) (2019年1月9日 13時) (レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
神宮 - 新婚旅行は何処がいい？(イケボ) (2019年1月8日 18時) (レス) id: a62e8a91e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Acer | 作成日時：2018年8月10日 17時
