第43話「その目には何が映る」 ページ43
「……ぁ…、あぁ…。…平気だ……」
血の匂いも薄い。
一番大きい怪我といっても、擦り傷程度だろう。
尻を地につけたまま困惑とした表情で、頑固としてオレと目を合わせようとしないこいつを、ただただ、本当にただただ何もせずに見下ろした。
なんというか……気まづいな。
人間と殆ど接触したことのないオレは、その後どういった行動をとれば良いのかも分からず、気を紛らわすように何となく周囲を一瞥する。微妙な居心地の悪さを感じていた。
目のやり場に困った結果、何気なく未だ立ち上がろうとしないガキに目線を戻す。
するといつの間にかそいつの様子が変わっていた。
強く握り締められた拳は小刻みに震えている。
徐に、オレと視線を合わせんとばかりに上げられた顔は、苦虫でも噛み潰したかのように酷く歪んでいた。
その目に浮かび上がる感情。
嫉妬、羨望、嫌悪……────
───……駄目だ。
「っ…！！」
怒りによる反射行動は生物問わずに速い。
根拠などないが、今この瞬間だけそう確信した。
ついついこいつの胸倉を掴み上げてしまうのは不可抗力だった。噛みつかないだけ有難いと思え。
そんな不満を心の中で吐き散らしながら、動揺や困惑で揺れた瞳を至近距離で睨みつける。
「テメェが自分の劣弱意識で他人を"どう見るか"なんて知ったこっちゃねえ……」
「…だが。
念を押してから手を離せば、崩れるようにまた尻餅をつかせたそいつを後目に、オレは踵を返す。
……その後の事はよく覚えてない。
何食わぬ顔で受験者に紛れ、気づけば実技試験は終わりを迎えていた。
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Acer(プロフ) - ボブさん» 見てくれてありがとうございます！それに褒めていただけてとても嬉しいです！お返事が遅くなってしまってすみませんでした…＞＜ (2020年5月31日 19時) (
レス) id: 5b56e0d54c (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - めっちゃおもろいですね 俺は東京喰種とヒロアカが大好きなんで すごくいいなーって思いました 文作るのすげーうまいっすね 俺やったら全然分とか作らないんですげーと思いました (2020年4月28日 21時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - 夏希さん» そう言ってもらえるなんて光栄です！コメント諸々ありがとうございます！ 多分次の更新がきたときは同時に続編が出ると思いますので そちらの方で引き続き目を通してくれたら幸いです。ここまで読んでくださりありがとうございました！ (2018年8月2日 17時) (レス) id: 9d909c4f1f (このIDを非表示/違反報告)
夏希 - めっっっちゃ面白いですね！！更新がすごく楽しみです^^ (2018年8月1日 20時) (レス) id: c79d085b3f (このIDを非表示/違反報告)
Acer(プロフ) - ですがこれから本編に関係のない更新をした際 文字数の関係でお伝え出来ないことが稀にあるかもしれませんが なるべく明記しようかと思います…！ 貴重なご意見ありがとうございました…！ (2018年6月10日 18時) (レス) id: 9d909c4f1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Acer | 作成日時：2018年4月27日 0時
