第36話 “その名” ページ36
。
夜兎族。
その聞きなれた名前に、足を止めた。
今、こいつ等夜兎族って?
しかも、高く売れる?
どういうこと?
その場に立ち止まり、路地裏の奴らの話し声に、
聞き耳を立てた。
「なんでも、この世界じゃ確認されていない種だとか言われてんだ」
「けどあのガキがか?」
ガキ?
子供の夜兎か?
「ああ。あんなガキでも珍しい希少種。オークションなら滅茶苦茶盛り上がるし、恐らくすげぇ額の大金が飛び交うぞ」
こいつ等…子供を売ってるのか。
この口振りを察するに、恐らく人身売買をしている奴らだろう。
巫山戯た真似を…
しかしぐっと堪える。
ここでもし騒ぎを起こせば、白ひげの旦那や他の仲間に迷惑がかかる。
もう少し情報を…
聞き耳を更に立てていた。
だが男達が次に発した言葉に、私は動いてしまっていた。
動けずに、いられなかった。
「か、はっ…」
「痛てぇ……痛てぇよぉ………」
3人の内2人を伸し、1人の胸ぐらをつかみ壁に押し付けた。
「言え。そのガキはどこにいるんだ」
「かッ…し、知らねぇ……」
「言え。さっさと吐け。さもなくばこんな首簡単にへし折ってやるぞ」
「ほんとに知らねぇんダッ…！
オークションの奴らに身柄引渡してっから、そこから先は知らねぇんだよ！」
「なら会場は！！」
「会場も、知らねぇっ…俺達はただガキを見つけてくるだけ…その後は“奴ら”に任せるんだ…っ」
奴ら。
恐らくオークション側の人間達。
「ちっ…役に立たないな。役立たずは要らないな」
男の首に手をかけ、力をいれる。
「待て待て！まっでぐれっ！…今回は招待されたんだ…だから、ここにっ…」
男は苦し紛れに1枚の紙切れを差し出す。
「……いいだろう」
男を下ろし、紙切れを手にする。
紙切れ…といってもパッと見は普通のチラシのようなもの。
だがそれはカモフラージュであり、本来はオークションの“売り出される商品”の一覧のようなもの。
見ると、そこにはローマ字で確かに「夜兎族」と書かれていた。
そして、売買される種類、個体名が記されていた。
その売買される夜兎族の名前に、私は怒りを抑えきれなくなった。
「巫山戯るなよてめぇ等…」
「ひっ…！」
有無を言わさず、私は男の頭を蹴り飛ばした。
今にも目の前のこの男を殺しそうな勢い。
私の中に溢れる怒りは、それぐらいのものだったのだ。
“
「…神楽……！」
。
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さなら(プロフ) - ゆーなさん» ありがとうございます!!とても嬉しいでお言葉です……! (2022年8月25日 6時) (
レス) @page45 id: 2837963d9b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - とても面白くてハマりました！続きが気になります！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page40 id: 83b0960623 (このIDを非表示/違反報告)
さなら(プロフ) - みぃさん» わーーありがとうございます!!(;_;)その言葉がとても励みになります!コメントありがとうございました!! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 9060a73daa (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - この作品とても大好きです！更新頑張ってください。応援してます。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
さなら(プロフ) - ラナさん» わーありがとうございます！；；はい！これからどんどん面白い展開にしていきたいと思います!!頑張ります!!(*´`) (2019年6月2日 4時) (レス) id: 9060a73daa (このIDを非表示/違反報告)
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