第22話 嫌いな色 ページ22
。
「何も無いよ」
雛麗はそう言うと何かあったのかと尋ねてきた
あの騒音に気付かなかったのか?
眠ってたとはいえ流石にあの乱闘は騒がしく感じるはず
嫌でも目が覚めると思うんだが…
雛麗の顔を見れば、何も知らないというような表情
だが何かが引っかかった
顔を突っ伏してずっと寝ていたのであれば、顔に何かしらの“跡”がつくはず
服のシワや…前髪がもう少し乱れてたり
本当に雛麗は寝てたのか?気づいてない振りをしてるんじゃねえか?
だとしたら、隠れていたのか?
引っかかる事の方が多いが、無理矢理納得に繋げた
寝ていなかったのは事実だとしても、雛麗自身には何もなかった
「何も無かったのか…良かった…」
エースから零された言葉がずっと引っかかっていた
あれから数時間が経って、今は日が沈みかけていた
空は綺麗な夕陽と青い空が混じり合い、所々には白い雲が散り散りになっていて、見事なグラデーションを描いている
江戸の空とはまた違って綺麗な空だなぁ…
傘をさしながら、青空を見上げていた
なるべく陽には当たらないようにしながら。
船の甲板の端っこに凭れ、江戸の風景を思い出していた
今頃何しているんだろ…
私のことを探しているかな…
こうも離れてしまうと、やはり寂しい
いつもは当たり前にある日常が、いざ離れることによって有り難みを感じる
私は幸せ者なのかも…しれない
潮風が髪をなびかせる
私の茜色の髪は、皮肉にも夕焼け色に染まっていた
「綺麗な色だな」
不意に聞こえた声に振り向けば、エースが立っていた
「髪の色も、夕陽も」
ああ…そんなことを言われたのは、2回目だ…。
前にあの人にも言われたことがある
“綺麗な髪の色”だと。
エースは私の隣に立つと、私同様に壁に凭れる
「…髪の色を褒められたのは2回目だよ」
「そうか」
雛麗は傘をさしながら空を見ている
だが何故か、夕陽は見ていない。
寧ろ、夕陽から隠れるようにして傘をさしている
茜色の髪が潮風に揺られ、夕陽と同化していた。
「…でもね、エース」
数秒の沈黙の後、雛麗が徐ろに口を開いた
だが告げられた言葉に、俺は黙って聞くことしか出来なかった。
「私はこの髪の色、好きじゃないんだよ
憎くて、憎たらしくて、堪らないんだ
世界で一番、大嫌いなんだよ
…消し去りたいくらいに」
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さなら(プロフ) - ゆーなさん» ありがとうございます!!とても嬉しいでお言葉です……! (2022年8月25日 6時) (
レス) @page45 id: 2837963d9b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - とても面白くてハマりました！続きが気になります！ (2022年2月28日 23時) (レス) @page40 id: 83b0960623 (このIDを非表示/違反報告)
さなら(プロフ) - みぃさん» わーーありがとうございます!!(;_;)その言葉がとても励みになります!コメントありがとうございました!! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 9060a73daa (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - この作品とても大好きです！更新頑張ってください。応援してます。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
さなら(プロフ) - ラナさん» わーありがとうございます！；；はい！これからどんどん面白い展開にしていきたいと思います!!頑張ります!!(*´`) (2019年6月2日 4時) (レス) id: 9060a73daa (このIDを非表示/違反報告)
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