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第6話・彼の手の温度 ページ7

兼近side

嘘だと言って。

いつもの笑顔で、全部冗談だって、笑ってよ。

俺達の間に沈黙が流れた。

それを破ったのは、知らない男の声だった。

「松陰寺、お疲れ様。これで大丈夫だ」

「?!誰…」

振り返ると警備員の服を着た3人の男がいた。
屈強な感じの男1人に、ヒョロっとした感じの男1人。

「ボス。やはり来ていましたか」

「ハッハ。悪いか?」

松陰寺先輩とは知り合いのようだ。でも、なんだか上下関係を感じる話し方。

「ボス…?」

「君たちは…まぁ、ギリ合格、ってとこかなぁ」

「自分が深入りしすぎたせいです」

「まぁ、親しくしておくほど、レベルは上がるもんだからなぁ」

ポカンとした俺達を置いて2人は感情のない事務的な会話を繰り広げた。

とはいえ、いつもは百面相をする松陰寺先輩が、今は、にこりともしない。

すると、ヒョロっとした方の男がこちらに1歩歩み寄ってきた。

「おっと、申し遅れましたね。私は鬼越 正治です」

鬼越、正治…?誰だ?

「お、鬼越…って、もしかして…」

伊達司令官は知っているようだ。

「君達には一種のアンケート、いやテストと言った方がいいかな。まぁ、一連の事は全部こちらが仕組んだものです。安心してください。」

「はあ…?」

「こいつは私の右腕ですよ。もう役に立つわたつわで…。これまでも何件もの仕事をこなしてきたんですよ。な?」

「…お褒めに預かり光栄です」

「まぁ、説明はこれくらいで…。我々はお暇しますね、」

「待っ…てください!インジさんは?」

「?共に戻るが?」

「え…じゃあこれでお別れ?」

「そういう事になるな、では」


「インジさん!待って!」

俺は松陰寺先輩の手を咄嗟に掴んだ。



彼はちら、と振り返ったと思えば、すぐ俺の手を振り払って歩き出してしまった。

「あ…」









1人取り残された俺の右手には、握った時に感じた、

氷のように冷たい彼の手の温度だけが残った。

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梵天ぼんちゃん(プロフ) - おや!そうだったんですね。良かったです。ありがとう御座います。 (2021年8月26日 18時) (レス) id: 77110d258d (このIDを非表示/違反報告)
アシA - ご心配おかけして申し訳ございません!これから少しずつ書かせていただきますね! (2021年8月26日 18時) (レス) id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)
梵天ぼんちゃん(プロフ) - 初めまして、梵天と言います。興奮してめちゃくちゃはまりました。続きが気になって仕方がないのですが、お元気にお過ごしされてるのですか?つづくのでしたら、楽しみに待ってまするね (2021年8月23日 1時) (レス) id: 77110d258d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アシA | 作成日時:2021年5月24日 15時

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